絶世の美女とされる万葉歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)が斉明四年(658)十月から翌年一月にかけて斉明天皇と行幸した紀温泉、今の和歌山県白浜の湯崎温泉あたりで詠んだ「莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣 吾瀬子之射立為兼五可新何本」という万葉集中の歌が難解意味不明で未来永劫(えいごう)解読できないだろうと言われていたという。あなたには解けるだろうか。その歌を佐々木泰造という方が毎日新聞の 万葉のとびら というコラムで解読されている。ここまで解読されたのはすごいことだ。額田王自身はどう思っているだろう。ピンポンッと微笑むか、それとももうちよっとと首をかしげるか。はたして?
fumio
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この解読は、「木の国の負ふ名に爪付け」つまり、「木」に「一」を付けると、最後の「本」と対応する漢字クイズと考えた点が特徴ですね。
ところが、平安時代以前には「本」ではなく、「大」の下に「十」と書く「夲」という字体で書かれていました。(「富夲銭」が有名ですが、当時は例外なくこの「夲」。万葉集の古い写本も「夲」。詳しくはURLを。)
「木の国の負ふ名に爪付け」…あれれ「夲」にはならないなあ。ということで、ちょっとこの説は成り立ちそうもありません。
たしかに「夲」にはなりませんね。わたしには漢字クイズとは思えないのですが解読不能かと思われていた歌にこの方が挑戦して大和の隣の紀州に目をつけて「木の国」という場所を特定されたことに驚きました。いつかだれかが正解を出される時を額田王さんは待っていらっしゃるのでしょう
もしそうだったとしたら、「本」と「夲」の食い違いはかなり根「本」的な問題になってしまうわけです。
額田王に「本」という字を見せたら、「何それ?変な書き方ねえ。アナタ字を知らないの?」と怒られてしまいそうですね。