monologue
夜明けに向けて
 



 その頃、わたしたち一家が日本に帰国してきてからアメリカでは外に出て働いたことのない妻が日本では外に出て宝飾業界で働き実力を発揮し始めていた。そんな折り、わたしが事故にあって退院してきたのである。それで妻に外での仕事をまかせてわたしは家でコンピューターに音楽を打ち込んだりワープロで歌詞や文章を書いたりして、炊事洗濯を担当した。わたしたちの家庭はそんな役割分担になったのである。

 色々音源を揃えたり、コンピューターで音楽を打ち込むことにやっと慣れてきたころ、病院に見舞いにきたMIYUKIに頼まれていた歌を試しに作ってカセットにカラオケと手本にわたしの歌を吹き込んで送った。すると数曲中、「軽々しく愛を口にしないで」 が気に入ってレコーディングしにきた。実にうまかった。テレビに出るアイドル女性歌手たちよりはるかにかけ離れてうまいと思った。数週間後にかの女はあるイベントで「軽々しく愛を口にしないで」を持ち歌として歌って大受けだったと他の人が教えてくれた。それはそうだろうなと思った。それがかの女の持ち歌デビューだったのである。そしてそれはアルバム『水面に書いた物語』 プロジェクトのスタートになったのであった。
fumio


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