富貴蘭讃歌

富貴蘭の栽培記録と勝手気ままな四方山話です。

水苔

2012年11月23日 | 風蘭の作
今回は水苔についてお話

最近雑誌等で国産水苔がいいと言う記事をよく見かけます
業界でも国産がいいと、、、

斯く言う私も30年近く国産水苔を使用していますが、、、

別に大した理由は有りません

ニュージーは水持ちがよすぎるし
一度乾けばなかなか水を吸わないので
私にとって扱い辛いだけ

確かに国産はニュージーに比べ利点も多々あるように思いますが
何でも一気に飛びつくのは危険

と言うのも どの記事も国産水苔のリスクが
何故か記述されておりません

ある意味 国産水苔は もろ刃の刃 的なところがあります

ニュージーを使い今まで順調だった富貴蘭が
国産の使用法を誤り いきなり作落ちしても
雑誌社も誰も責任を取ってくれません

この富貴蘭讃歌であまり作のことについて書かないのも
それぞれの棚の環境や鉢の種類、水遣りの頻度等々
千差万別だからです

うちの棚ではこれがいいという作り方や
殺虫殺菌の仕方などなど
それが他の棚で実践しうまくいくかどうかは疑問です

ブログとはいえ 活字にしておりますので
それを もし参考にされ 万が一ランを傷めても
責任をとる事が出来ないからです


さて話は戻り
国産水苔のデメリットを二三書きますので
軽く参考にしてください

先ず第一に
殺菌消毒をしていないため
虫の持ち込みがあります
これは少々苔を乾燥させても防げません

虫はゲジゲジは勿論ダンゴムシまで出てきます
ゲジゲジは悪さをしないようですが
ダンゴムシやナメクジは根を食害します
一匹見つければその何十倍も潜んでおり
一度棚で発生すると根絶は相当な労力がいります

全て卵の状態で水苔に付着しているようです

うちでは国産を仕入れ 害虫対策のため
乾燥させ一年間寝かします
一年寝かしてもゲジゲジやダンゴ虫が孵化してきます

ニュージーでは考えられないことですが

今、植え替えに使っている水苔は去年採取物で
段ボールの箱に一年間寝かしておいた物
ビニールに入れ寝かすと
少しでも湿気が残っていれば腐りますので
通気のいいダンボールを使用します


次は雑菌

国産を使い一番怖いのは雑菌の持ち込み

基本的には腐葉土で作っているみたいなものですので
特に夏場 水が多く強光が当たり蒸れの状況になると
台苔の状態が悪くなり
たった一日二日で全ての根が一気に腐ることも

根の腐る進行が速いため草姿はそのままですので
気付いた時はすでに遅しです
これはあまり発生することのない極端な例ですが
国産を使い蒸らすと起こり得ることです


後は水苔自体の劣化が早い事

特に夏場は水苔から湧いてくる虫に食われたり
さらに乾燥が早いので苔がスカスカになり
素焼き鉢では水切れし葉焼けの原因にもなります

うちの棚は水加減の分らない人が毎日ザブザブやってくれますので
国産の渇きに速さは重宝しますが、、、

確実に年2回は植え替えないと
水苔の劣化速度に作がついていけません
さらに見た目がとても汚くなりますし
高い国産ですのでコストパフォーマンスはイマイチです

風蘭は年に2,3枚の葉繰りで
国産に変えたから
それが4枚になるわけでなく
自己満足的要素が高いだけかもしれません

風蘭以外の園芸もやられている人はわかると思いますが
要は腐葉土で作るという事です
腐葉土で春蘭を作ればどうなるか???

苔自体に栄養が有り 作が良くなったようにも見えますが
(実際、ニュージーよりは木が大きくなるようです)
その作場の環境まで留意して作らないと木が間延びします
(肥料がありますので水苔の養分に頼る必要はないと思いますが)

今回の 自然と野生ラン に載っている四国方の様な環境、作をすれば
素晴らしい出来になるでしょうが、、、

一度よく研究してみてください
いきなり棚のすべてを国産にするのではなく
一作、棚の2割ほど国産に変え様子を見る方が賢明かもしれません
その内 国産に合う鉢の種類や扱いがわかると思います

ちなみにうちは最高級の国産水苔を使っておりますが
それでも細かな弊害は出てきます

今うまく作れているのであれば
あえて変える必要は何と思います

最近 あまりに国産国産と ざわざわしだしましたので
こういう事も有りますよと
経験を踏まえ 老婆心ながら書いてみました





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