山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

149:みじめなスタート

2019-09-29 | 小説「町おこしの賦」
149:みじめなスタート
 実力診断テストが、返却された。英数国の合計点は百二十七点と、三百点満点の半分にも満たない成績だった。学内順位は二百三十六人中百九十四番目。箱根駅伝の折り返しスタートのように、ライバルたちはすでに、はるか先を走っていた。予想していたこととはいえ、恭二は完璧に打ちひしがれていた。

 とにかく誰にも負けない、努力をすること。ただそれだけを考えた。科目から科目への切り替えのときには、「笑話(しょうわ)の時代」ノートも開いた。高校時代に、ちょっとだけやっていた、笑い話の創作ノートである。コーヒーを飲み終わるまで、恭二は頭に浮かんだ単語に、おかしみが生まれるストーリーを考えた。気分転換には持ってこいのはずなのだが、なかなか笑える話は浮かんでこなかった。

 ふと思いついて、ノートを一枚破り取った。ノートの一番下の欄に、四月・百二十七点・百九十四番と書いた。毎月数字を積み上げていくつもりだった。どん底だよな、と恭二は思う。そしてどん底って、これ以上落ちないところだとも思う。

 参考書を開く。一月から十二月までを、旧月名で書きなさいとある。睦月、如月、弥生、卯月、五月と空欄を埋める。六月がわからない。覚え方のヒントが、掲載されていた。「むきやうさみふみはながしし」とあった。旧月名の頭を、連ねたものである。
恭二は「み」を考える。水無月という単語が、浮かんだ。あとはスラスラできた。
 この暗記方法は、自分に最も適していると思った。それからは難解なものはすべて、この方法で頭に叩きこむことにした。

 翌朝は六時に、目覚まし時計をセットした。英単語も難しいものは、ストーリーとして覚えた。床についてからも、頭のなかでは英単語が浮遊していた。全科目が情けない点数だったが、特に英語はひどかった。単語がわからないので、長文問題はまったく手がつけられなかった。
 英単語帳と格闘する、毎日が続いた。わからない単語にはラインマーカーを塗り、小さな文字でストーリーを添え続けた。たとえばこんな具合にやるのである。穴をホールhole。

086:2つの見極め

2019-09-29 | 新・営業リーダーのための「めんどうかい」
086:2つの見極め
――第6章:威力ある同行
◎ショートストーリー
データベースのコンピタンシーモデルは、多くの企業に存在しています。ただし大いに活用されているという話はあまり耳にしません。私が開発した「身の丈コンピタンシーモデル」との違いを紹介します。

① データベースのコンピタンシーモデルを活用する

上司「コンピタンシーモデルには、『顧客ニーズを探る活動:常にアンテナを高くし、顧客の言動から速やかに、顧客のニーズを探ることができる』と書いてある。きみの顧客ニーズを探る現状の活動は、5点満点で何点くらいだろう?」
部下「まだピンとこない場合もありますから、3点くらいだと思います」
上司「ではコンピタンシーモデルに、少しでも近づくようにがんばってくれ」

②身の丈コンピタンシーを活用する

上司「きみの『顧客ニーズを探る活動』って、5点満点で何点くらいだろう?」
部下「平均的だと思いますので、3点くらいだと思います」
上司「では、きみの考えるもうワンランク上の『顧客ニーズを探る活動』って、どんなものだ?」
部下「……(考え込んでいる)」

◎考えてみましょう

 2つの質問のどちらが、営業担当者のレベルアップにつながるのか。考えてみましょう。

 ①は多くの企業が導入している「コンピタンシーモデル」です。営業担当者の理想的な活動を、具体的に記載されています。ところが要求レベルが高過ぎて、平均的な営業担当者は使いこなせないのが現実です。

 ②は営業担当者自身に、ワンランク上の活動を考えさせる「身の丈コンピタンシー」です。2つの違いは歴然としています。

 営業リーダーの大切なスキルは、「考えさせる」「聞き取る」です。営業担当者が自ら考えたワンランク上の活動は、本人が責任を持って到達できるように努力をします。

営業担当者の活動リストのなかから、1つか2つを選んでレベルアップを図るのがポイントです。1度にたくさんのゴールを設定しないこと。たくさんのゴールを設定してしまうと、目標が散漫になってしまいます。

「身の丈コンピタンシー」については、後章で詳しく説明がなされています。部下にワンランク上の活動を可視化させることは、きわめて重要なことです。

『元気が出る言葉366日』がいい

2019-09-29 | 妙に知(明日)の日記
『元気が出る言葉366日』がいい
■もう奇跡とはいわせない。ラクビーワールドカップ2戦目で、日本は世界ランク2位のアイルランドを撃破しました。4年前に南アフリカに勝利したとき、世紀の大番狂わせと絶叫されたことを受けての、アナウンサーの言葉です。まだ感動の余韻があります。■『元気が出る言葉366日』(西東社)は2016年発行のソフトカバーです。オールカラーなのに、880円+税と安価なのも魅力です。毎朝少しずつ読んでいました。ついに昨朝、完読しました。お勧めの一冊です。
山本藤光2019.09.29