21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

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貨幣供給量とインフレ

2012年10月27日 20時34分52秒 | Weblog
中学生の社会科の教科書にも載っていたと思う。

物価は、モノ・サービスの需要と供給の関係で変動する。
そして、需要に対して供給が不足している際に、インフレが起きる。
インフレは、モノ・サービスの需給に関係する話。



つまり、貨幣の供給量、貨幣の市場流通量は、インフレとは関係がない。
資金供給量を増やすとインフレの下地を作ると心配されているが、資金供給量・貨幣供給量とインフレには直接の関係はない。

「貨幣」を「モノ・サービス」と同じようにとらえ、「供給量が増えると価格が下落する」と誤解している人がいる。ありえない。
貨幣の供給量が増えても、貨幣の価値は下落しない。


敗戦後の日本にしても、敗戦後のドイツにしても、インフレの原因は物資の不足である。国民の需要を満たすだけの食糧・製品がなかったためにインフレが起きた。モノ・サービスの需給関係が崩れたことはインフレの理由である。当時の貨幣流通量はインフレとの関係がない。

ジンバブエのインフレにしろ、アルゼンチンでのインフレにしろ、ロシアでのインフレにしろ、原因はモノ・サービスの需給関係の崩れである。つまり、製造能力不足・供給能力不足がインフレの理由である。



誤解を解くために繰りかえす。

市場での資金・貨幣流通量はインフレの原因とならない。常識である。中学校の教科書に出さえ、「物価はモノ・サービスの需給関係で決まる」と書いてある。貨幣の流通量はインフレの原因とならない。






一方、資金・貨幣の市場流通量が不足した場合、デフレの原因となる。国内のデフレの原因は、貨幣の市場流通量が少ないことである。家電製品の価格下落スピードが早いのは、技術革新ではなく、資金流通量が少ないためである。



硬貨(金貨・銀貨・銅貨)が、貨幣の中心だった時代、貨幣の市場流通量は貴金属の産出量に依存した。そのため、たびたび経済規模に対して貨幣流通量が不足して、中世・近代の世界ではデフレが起きた。


現代は、金本位制を廃止して貨幣の流通量は貴金属の産出量と切り離された。そして、電子マネーの登場で、貨幣の市場流通量は、印刷機の能力からも切り離されたはずである。 それにもかかわらず、日本ではデフレが起きている。つまり、社会が必要とするだけの貨幣・資金が市場に供給されていない、と言うことである。



なぜ金融政策担当者は、失われた20年が過ぎても対応を取ろうとしないのか? 20年間に何度も政策担当者は変わったにもかかわらず、である。 不思議である。