21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

1億総ボランティア化

2013年05月06日 09時28分35秒 | Weblog
円安の影響で大企業の収益は回復してきている。

一方、価格競争を強いられている中小企業は厳しいままだ。

多くの業界で、無理な値下げが常態化していて、ボランティア労働者・サービス残業が中小企業の価格競争を支えている。

労働者の多くは、少ない賃金しか受け取っておらず、多少の余剰可処分所得を持つ個人も、長時間労働のために、消費生活に使える時間がない。個人消費が低迷する。

また、生産設備の老朽化・生産性の低迷を労働者の「サービス労働」が補うため、設備投資も低迷している。

職場を守りたい労働者にとって、サービス残業は合理的な判断だし、企業を守りたい経営者にとって「可能な限り」値下げ要求にこたえるのは合理的な判断だ。


ここに「合成の誤謬」が発生する。

国民全体が忙しく働いているが、その多くがボランティア労働で、利益を生み出していない。多くの人が忙しく働けうば働くほどに、国全体が貧しくなっていくスパイラルに陥っている。



対策としては、規制監督省庁が中心となって労働基準法の遵守を徹底させる。「職場を守る」ことに集中している労働組合にまかせておくと、職場は残っても国が滅びてしまう。

また、利益の出る仕事ができるように労働者を再教育できる仕組みも必要だ。

そして、ゾンビ企業の廃業・解散を支援する必要がある。


一億人の国民がボランティアで、利益の出ない仕事をしており、国が面倒を見るために多額の国債を発行している。そして、日本銀行が現金を印刷して国債を買っている。

日本人は働いているフリをしながら、日銀が無尽蔵に印刷し続ける現金を使って大量の製品を輸入し、生活を成り立たせている。

そんな経済システムがいつまでも機能し続けるとは思えない。輸出国が日本円の本来の価値に気が付いたときに、この経済システムは機能停止する。

まずは、ボランティア労働を廃止するべきだ。労働基準法を遵守してほしい。労働基準法が完全に行使された上で、理想を言えば、ROEが3%以下の企業には市場からの撤退をもとめるシステムが欲しい。


憲法改正を進める前にするべきことは多くある。21世紀型の市場経済に適応できるように産業構造を改革しなければならない。




中国は世界第2位の経済大国だが、国民の多くは貧しい生活をしている。それと同じように、日本は世界第3位の経済大国だが、国民の大多数は(北米諸国よりも)貧しい生活をしている。という事実を直視して欲しい。

下を見て、自分たちを慰めるのは止めよう。上を見て、もっと豊かになれる現実に気付いてほしい。