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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

映画「バイス」

2020-02-19 11:14:52 | 映画
衛星放送の録画で、2018年のアメリカ映画「バイス」をみる。バイスとは、この場合は副大統領の「副」という意味で使ったのだろうが、「邪悪」という意味を重ねているのかも知れない。

ジョージ・ブッシュ大統領の下で副大統領を務めた、ディック・チェイニー副大統領の伝記的な作品だが、かなり批判的に描いている。チェイニーの駆け出し時代から描かれるが、一番の見せ場は、2001年に9.11の多発テロが起きた時の様子で、この時に大統領は飛行機で移動中だったので、ホワイトハウスではチェイニーが指揮を執った。大統領には、危険だから暫く着陸しない方が良いと伝える。アメリカでは大統領にもしものことがあれば、即座に副大統領が大統領に就任するから、これはチェイニーが一番大統領に近づいた瞬間かも知れない。

ホワイトハウス地下のコントロール・ルームでは、チェイニーのほか、パウエルやライスなどがいるが、これが皆結構似た俳優が演じているのが面白い。中でもチェイニーは特殊メイクをしたのか、とても似ていたので驚いた。アカデミー賞でメイク賞を取っただけのことはあると思った。

この映画では、チェイニーは無能の悪人のように描かれているが、大統領のジョージ・ブッシュはさらにひどく、無能のお坊ちゃんとして描かれていて、バカにされている。いくら何でもかなり極端な描き方だと思ったが、コメディなのかも知れない。

それと、もう一つ気になったのは、監督のアダム・マケイが、映画の約束事を破って、変な編集をしていることだ。途中でいかにも映画が終わったような字幕を流したり、変な描写を入れている。これでは、映画に集中できずに面白くないと思った。

アカデミー賞シーズンなので、過去のアカデミー賞受賞作品がいろいろと放映されるが、こうした下らない映画も多いので、気を付ける必要があると感じた。