『ちりとてちん』第7週 ~意地の上にも三年

2007-11-19 23:57:33 | 連続テレビ小説




 「つつき回した鍋底に、息をひそめてうどんの切れ端・・・」
 「今日から俺が~ぁ、お前の寝床~~~♪」
 落語には必ず「まくら」があるわけだけど、熊五郎さんが作詞&作曲(本当に熊ちゃん=木村祐一さんが作ったんだって!)したフォークソング『寝床』を「まくら」に「寝床」につけば、「行き場を失った」うどんの切れ端とネギの切れ端がぷかぷかと空中を漂ってる夢でも見て、思い切りうなされそうです。えっ、「まくら」の意味が違うって? 
 それにしても、妙に説得力があって、一度聴いたら二度と忘れられない歌詞とメロディでした。翌朝、喜代美や草々に草若師匠まで、知らず知らず口ずさんでいましたが、かくいう私も、昨日までの「ふるさと」にかわって、「今日から俺が~お前の寝床~~」と、何かにつけ愛唱しております。

 「寝床」で始まり「寝床」で終わった(ビジュアル面でも、熊五郎のクローズアップで幕が開き、草若師匠のクローズアップで幕が閉じた)『ちりとてちん第7週~意地の上にも三年』は、お題のままの物語で、三年間散りぢりに道を歩いてきた徒然亭一門が「寝床」に再結集し、涙の洪水で意地もわだかまりも(ついでに垢と埃も)きれいさっぱり洗い流し、晴れやかな笑顔でレンゲやタンポポの咲く丘に座り、どこか遠くから三味線&太鼓のお囃子や雲雀のピーチクさえずる声が聴こえてくる、そんな春の陽気に包まれながら、最高の落語(『愛宕山』)に耳を傾ける・・・至福のときを迎えて次週に続く次第となりました。
「その道中の陽気なこと~」と、上がり調子になったところで止めるなんて、にくいあんちくしょうな演出じゃありませんか。なんて、底抜けにぃ~素晴らしいエンディンなんだろう~、ほんとにほんとに、底抜けに、お帰りなさ~い!



 土曜日の「大トリ」に登場したスペシャルゲストに、満足しなかったお客さん(視聴者)は皆無だったと思いますが、月曜日の「まくら」を演じたポール・マッカートニー(熊五郎)のフォークソングも素敵でした。
 もちろん、皆さんご存じだと思いますが(落語は詳しくないので、皆さん色々教えて下さいませ)、熊五郎&咲夫婦が営む居酒屋「寝床」は、落語の『寝床』からとられているわけですが、この『寝床』という噺は、人はいいのだけど、趣味が高じて熱中しているわりには怖ろしく下手くそな義太夫を(本人だけは上手いと思っていて)他人に聞かせたくて仕方がない長屋の大家が、またしても義太夫の会を一席もうけたものだから、まあ困ったもんで・・・それを店子に伝える役目を仰せつかった番頭さんと、仮病やら身内の不幸やら持ち出して「恐怖の義太夫」を聞かずに済ませたい店子の人々との丁々発止のやり取りの末、結局誰一人として出席しないことに腹を立てた大家が、そんなに嫌なら、(店のものには)暇を出す、家賃を上げる、長屋から出てってもらえ、と言い出したため決死の覚悟で全員が出席する・・・という物語で、月曜日に演じられた熊五郎のフォークコンサートを巡るドタバタが、そのまま落語になっていました。
 でも、熊五郎さんの『寝床』にはサゲ(オチ)がありませんでしたね。これも粋な計らいです。ここで私がサゲを披露するのは甚だ無粋なので、興味をもたれた方は、是非『寝床』を聴いてくださいな。



 三年ぶりに風を通した稽古部屋の鴨居にかけられていた「ネタ」の数々。徒然亭の十八番がずらりと並んでいるのでしょう。すでにお馴染みになった演目もありますが、この先どんなお噺が登場するのか、実に楽しみです。キー子さんが初めて高座でお披露目するお噺は何だろう?



 今日18日のスタジオパーク(以下スタパ)に出演した松尾貴史さんも話していましたが、脚本が実に見事で、キャラがますます際立ってきました。
 再集結した徒然亭一門の面々は、一人ひとりが個性溢れる魅力的な人々で、本当に兄弟弟子に見えます。師匠の下に四人が集まると底抜けに目が離せなく、現場も非常に明るいとか・・・
 同じく「スタパ」に出演した原沙知絵さんが徒然亭を「男子校チーム」と呼んでいましたが、言い得て妙ですね!



 第7週では、タンポポのような人柄で皆から慕われた「おかみさん」のエピソードが語られましたが、糸子さんもまた、「おかみさん」のように春の若狭の海みたいな人だったんですね。彼女がいなかったら、今度の落語会で赤穂浪士の決起(徒然亭一門の復活)と相成っていたでしょうか? すごい人です、ほんとに。
 喜代美は、A子だけではなくて、この母に対してもかなりのコンプレックスを抱いていたのかもしれません。だから、糸子さんの「その前に、おかあちゃんを倒していき!」発言になるのかな?



 糸子さんに負けじと劣らず、和田家の人々も相当なものでした。徒然亭一門の中でも飛びっきりの曲者の四草をも絶句させる強烈な恐竜パワーの持ち主。喜代美の部屋で一家が眠る場面が、とっても素敵でした(彼女はたじたじになっていましたが)。
 そうそう、原さんがチラッと「スタパ」で話してくれましたが、奈津子さんがどうやら恋をするんだって。お相手は誰かと楽しみにしていたのですが、もしや小次郎さん? これはまた、底抜けに面白そう~♪




                   


 今日18日の「スタパ」に、怪人17面相の松尾貴史さんが出演しました。マルチな才能をもった本当にすごい人ですが、ヨーダの弟子だったなんて、初めて知りました。(わけがわからない方ゴメンナサイ)
 寝床組の松尾貴史&キムラ緑子&木村祐一の御三方は、原さんがおっしゃるように「知性派」と呼びたくなりますね~。落語が大好きで(桂吉弥さんに稽古をつけてもらって)高座にも上がったことのある松尾さんが太鼓判を押したのが、芸達者な人々に囲まれてヒロインを演じている貫地谷しほりさんと、見事な脚本でした。
「『ちりとてりん』は真っ白な気持ちで見てもよくできているけど、落語好きな人が見ると、また別の見方があって、二重三重に楽しめる」と、本当に嬉しそうに語っていました。粋でいなせな落語の世界に飛び込んでいこう~

 もう一人重要な人が・・・草若師匠を演じた渡瀬恒彦さんも、すでに「スタパ」に出演されているのですが、まだ録画HDDを見ていません。落語については確かに素人かもしれませんが、役者としてはさすが師匠の貫禄といったところで、ラストシーンは圧巻でした。初めての役柄が一世一代のはまり役になりそうな予感・・・


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