筒石 ~トンネルの中の駅!

2008-09-05 23:57:30 | 鉄道紀行&乗り物

秘密基地の駅はJR西日本の管轄になる・・・


 183系元特急列車は実に快適だった。直江津にはやはり6分遅れで到着したが、「富山行は皆様が乗車した後の発車になりますので、お急ぎになる必要はございません」という感動的な車内放送が流れたため、恒例の猛ダッシュをする必要もなくなり、ゆっくり歩いてホームを移動した。東京だったら、ハード面(次の電車がそれほど待たずに来てくれる)、ソフト面(そんなに急いでどこへゆく)の両面から「あり得ない」話で、ニワトリさんはいたく感じ入りつつ大らかな気持ちにさえなり始めていたのだが、これが当たり前なのか、他の乗客は何ごともなかったかのようにマイペースで歩いているのだった。


                   

(左)直江津で我々を待ってくれていたJR西日本のクハ418。初めて見る車両だ。無愛想な鉄の塊だけど、どことなくユーモラス。何かに似ていると思ったけど、最後までそれが何なのかわからなかった。帰ってきてから、418が「食パン電車」と呼ばれていることを知った。なるほど、そっくりだあ~♪
(右)すごく幅広な感じのするクハ418の運転台。このあたりはトンネルが多く、耳が痛くなるほどの金属音をまき散らし風切音を立てながら走行する。顔つきに似合わず力持ち。食パンがなぜこんなに速いのか・・・


                   

(左)頸城トンネル入口(名立側)。名立~能生間の殆どがこの頸城トンネルになる。全長11.353kmで、トンネル内に筒石駅がある。
(右)トンネルの駅を「食パン」が出てゆく。向こう側に見えるのは直江津方面のホーム。筒石は有名な土合や湯檜曽と違って、上り&下り共にトンネルの中にある。

 どうして頸城トンネルができたのかというと、海沿いを走る北陸本線が地すべり災害に長年悩まされてきたからだった。去年の中越沖地震で海に一番近い駅=青海川のすぐ近くで大規模ながけ崩れが起こり、駅のホームの半分まで土砂に埋まったのは記憶に新しいが、糸魚川~直江津間では旧筒石駅を中心に20回以上の地すべり災害が発生、1916年と1946年には駅が破壊され、1963年にはC57機関車と客車が地すべりに乗り上げている。新線への移行は急務となり、頸城トンネルが建設された。新線開通に伴い、名立&能生駅はトンネルの前後に移転し、筒石駅は(保守管理の面からも)トンネル内に新たに設置された。気楽に秘密基地なんて言っていたけれど、大変な苦労の上に今の筒石駅があることを決して忘れてはならない。




                   

(左)列車が通過すると、トンネル内は風圧によって通常よりも強い風が発生する。そのため、ホームと通路はこのような引き戸で遮断されていて、待合所の椅子もここに並べられている。駅構内は20℃前後だろうか? とても涼しいけれど、湿度100%!なので体がジメジメしてくる。
(右)この駅には、乗降客の安全を見守るために常駐の駅員さんがいる。もしかすると、『鉄子の旅』に出てきた方かもしれない。その方の指示に従って、通過する特急「北陸」を見に行った。確かに風圧はすごく、迫力満点だったが、吹き飛ばされるほどではなかった(そうだったら、ホームに立つことを許可してくれないよね)。
 ちなみに、筒石駅の乗降客は一日約60名だそうだ。地上駅舎とホームを結ぶ通路はトンネル工事で使用された斜坑を利用していることもあり、エレベーターやエスカレーターは設置されていない。地上改札から下り(直江津方面)ホームまで290段176m、上り(糸魚川方面)ホームまで280段212m(実際数えたわけじゃないけど)。高低差は40mしかないので、階段の上り下りはそれほどきつくはない。


                  

(左)上りホームの引戸を開けて待合所&通路に出る。右に曲がると階段が・・・
(右)階段を上って線路を横切る。


                  



(左)先ほどの階段を上り切って、20m下の線路を渡る(横断する)。
(右)線路を渡り切ると、下りホームへ向かう階段が現れる。せっかくここまで来たのだから、下りホームへも降りてみた。車で筒石駅を訪れた家族連れとすれ違った。




                   


(左)再び右に曲がって、緩やかな階段を上ってゆく。地上の明かりが見える。
(右)胎内探検の終わり。地上は蒸し暑かった。


                  

(左)地上駅の待合室は普通の駅と一緒。懐かしくオーソドックスな配置だった。
(右)現場事務所みたいな地上駅。自分と同じように筒石で降りた乗客が2名いたが、車で訪れる人も少なくない。




                   

(左)駅の右側は断崖絶壁。谷の底は見えない。身を乗り出し過ぎないように! ところどころ露出しているバームクーヘンみたいな地層が魅力的。昔は海だったと聞いて、これまたびっくり!
(右)駅から100m歩くと、冒頭の写真のところに出る。北陸自動車道のこの橋を架けるのも大変な工事だったに違いない。さらに歩けば海が見えたらしいが、この時点で50分が経過してしまった。あと10分で上り電車が来るので、トンネルへ戻った。


 下りホームから上りホーム(糸魚川方面)を見る。筒石駅は二面二線の駅だが、トンネルの幅を少しでも狭くするために、段違いに向き合っている。二度と降りることはないだろうと思ったが、写真を眺めていたらもう一度訪ねたくなった。


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2 コメント

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かっこいい・・ (あんこ)
2008-09-06 10:22:56
こんにちは、トシ子さん。
すごいですねこの駅、カッコイイですね。
こんな駅があるんですね。階段や廊下の直線と天井のアーチがすごい、あれこれそぎ落としたタフな雰囲気。駅の湿った構内に整然と張られた電線、間接照明の蛍光灯などなど。見ていてぜんぜん飽きません。トシ子さんの写真がいいのかな。
すごかったです! (Toshi)
2008-09-06 22:51:54
あんこさん、こんばんは~♪
筒石駅は、漫画『鉄子の旅』(1巻)で知りました。以来、機会があったら是非訪れたかったのですが(明日行くところもそうです)、本当にすごかった!


昔からトンネル好きだったので、本当に興奮しました。1時間なんてあっという間に過ぎてしまいす。
トンネル駅もすごいけど、地上もいいそうです。書き忘れたけど、崖に露出していた幾層もの地層は、かつては海だったそうで、もしかすると化石が出るかもしれません。雨が降ればあたりは水墨画に、春は新緑、夏は蝉の声(この日も鳴いていました)、秋は紅葉、冬は雪と、四季折々が素晴らしいとのこと。また行きたいと思っています。
写真の腕前は一向に上がりませんが・・・

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