松田優作のデビュー作
映画館かテレビでしか「映画」が見られなかった時代、「映画」は視聴率が稼げることもあって、各テレビ局は人気映画や最新作の放送権を得ようと激しい競争を繰り広げていました。テレビ放送は今と違って24時間放送ではなかったのですが、年末になると深夜3時ごろまで放送するようになり、たいていは黄金時代のハリウッド映画が放映されていました。ときどき、普段は見ることの出来ない映画がオンエアされることがあるので、新聞のテレビ欄を入念にチェックする必要がありました。
マイナー映画といえば、何といっても東京12チャンネルの独断場でしたが、放送は平日の昼間・・・ビデオ装置のない時代では学校をさぼって見るしかなく、小中学生の自分には不可能な話でした。だから、年末~正月にかけて何十本と放送される映画は、東京国際映画祭以上のラインナップといってもいいくらい、充実した時期だったのです。そしてときたま、『狼の紋章』のような、カルトになれなかった奇妙な映画を見ることができました。
受難のヒロイン青鹿晶子を演じた安芸晶子さんに捧ぐ
先月、DVDになった『狼の紋章』(73)は、年末の深夜に鑑賞するのが相応しい一品ですが、SF作家の平井和正が書いた大ヒット作「ウルフガイ・シリーズ」の、第一作『狼の紋章』を忠実に映画化していました。物語は原作に忠実でも、「主人公の犬神明が志垣太郎のわけないだろ」と、当時はボロクソに言われたかもしれませんが、製作時から33年も経った今なら、冷静に作品を見ることができるでしょう。私は、この作品をヒロインの女教師=青鹿晶子を演じた安芸晶子(市地洋子)さんに捧げたいと思います。これは100%彼女の作品だ。本人は何の思い入れもないかもしれませんが。
「裸と暴力が健全な娯楽=イルージョンとして機能していた時代」だったことを、強く感じました。70年代の女優が凄いのか、今の女優がだらしないのか。70年代が言語道断だったのか、今が去勢されてしまったのか。敵役の羽黒(松田優作)に何度も何度も背負い投げされるヒロインとは? 確かに???なのだけれど、私は安芸晶子さんを心から尊敬します。貴方は強く美しく、そして偉かった!
この作品でスクリーン・デビューした松田優作は、遺作となった『ブラック・レイン』(89)と同じ狂気を全身から漂わせていました。彼なら、ストイックで他人を寄せ付けない孤高の少年=犬神明も演じられたでしょうが、同じくストイックな凶悪人物を見事に演じていました(演技自体は下手だけど)。そんなわけで、バイオレンス描写が嫌いな人以外は、見て損はない映画だったかな? 今ならもっとリアルに、格好よく作れる?
優作1973
「なんじゃ、こりゃあ~(この変な映画は・・・)」と言っただろうか?
原作者の平井和正さんは、満月になると不死身になる狼男=犬神明を主人公にしたハードボイルドSF小説や、「ゾンビー・ハンター」シリーズなどで、カリスマ的な人気のあった小説家です。犬神明はこの世に二人いて、一人はジャン=ポール・ベルモンドに似たフリーのルポライターの犬神明。愛車はブルーバードSSSで、ちょっぴりフィリップ・マーロウを気取っていますが、物語はレイモンド・チャンドラーというより、大藪春彦に近いかな? ベルモンドくずしの犬神明は、中篇『狼男だよ』で鮮烈なデビューを果たしました。もう一人は、長編『狼の紋章』でデビューした中学生(映画では高校生)の犬神明。大人の犬神明よりもストイックで他人を寄せつけません。ルポライターの犬神明が主人公の物語はアダルト・ウルフガイ・シリーズと呼ばれ、少年=犬神明が主人公のウルフガイ・シリーズと区別されていました。ウルフガイ・シリーズには、ルポライターの神明(映画では黒沢年男が演じていた)という人物が出てきますが、これはアダルト・ウルフガイ・シリーズの犬神明と同一人物です。どちらのシリーズも、中断されたままなのが残念というか、永遠に終わらない青春なのか?
(仕方がないので、続きを自分で書いた覚えが・・・) 10時~14時まで寝て、4時間大掃除。今夜は『狼の紋章』を読みながら眠ろうか?
こちらは、夕方からのおせち料理づくりにそなえてのんびりしているところです。
2006年、大変お世話になりました。
変化球を織り交ぜながらも、決め球は直球勝負?!みたいな文才Toshiさんのファンです。
2007年も楽しみにしています。
それでは、良いお年を!
ご多幸をお祈りしております♪
色々な記事で楽しませてくれたこと、
私もとっても感謝しています。
どうもありがとう~
それだけじゃなくて、知らないことを
教えてもらったりと、勉強にもなりました。
来年も(あと少し・・)よろしくお願いします♪
(記事の内容には触れてなくてごめんね・・)
それではまた
高速スライダーがコーナーに鋭く曲がり、ストレートが唸りをあげてキャッチャーのミットに吸い込まれる。なーんて、来年の松坂投手みたい。
160kmめざして、がんばります~
来年もよろしくお願いします。
それでは、良いお年を!
来年もいろいろ教えて下さいね。特にナナ関係!
素晴らしい年になりますように・・・
いよいよ残すところ、あと1時間余。
『第九』の最後のところで新年を迎えることになりそうです。
こちらこそ、いろいろ教えていただいて、感謝しています。来年もよろしくお願いします。
素敵な年になりますように・・・