「あんたのお墓もゼブラに塗っちゃうわ」
自宅の迷宮映画館で『ゼブラーマン ~ゼブラシティの逆襲』のブルーレイを観ました。邦画のブルーレイはまだそれほど多くないけれど、よくぞ出してくれたと感謝感激、最高!でした。
何といっても、クドカンこと宮藤官九郎クンの脚本が素晴らしい! 2010年の映画だから、彼がノリに乗ってた頃でしょう。単純明快なのに奥が深い見事な合わせ技! 公開当時「お笑いダークナイト」だと褒められていましたが、二年後に再会してみると一段と熟成した感じです。ワインみたいに・・・。
翔兄ィ(ゼブラーマン)の「白黒つけられないから、丸くおさめたぜ」という台詞は、(ここで笑った人はそうはいなかったけど)単なるギャグではない、と感心しました。白黒つけるのは大事だけれど、二分法で片付けられないことの方が世の中には多い筈。白黒つけたら相手がいなくなってしまうわけだし(排除にもつながる)、だから丸くおさめる・・・日本人的考え方かもしれませんが、それもありでは?
クドカンの脚本の核になる相原ユイ/ゼブラクイーン/ゼブラウーマンを演じたのが仲里依紗。彼女次第で映画が決まってしまう非常に重要な役柄なので、大変なプレッシャーがかかった筈ですが、重圧をものともせず、この映画の主役は自分だと言わんばかりに、スクリーンいっぱいに弾けてくれました。今風に言えば、「エロいを突き抜けてまじヤバ」。公開当時に初めて彼女を知り、ファンになったのですが、ブルーレイで再見して、そのとき以上に魅せられてしまいました。ほんとにヤバいっす。
「映画秘宝」の当時のインタビュー記事を、襟を正して再読しました。私生活では「『純喫茶磯辺』のときのようにゆるくて動きやすいスエットが好き」だという彼女。歌も踊りもアクションも未経験で、「今まで演じてきた役を合わせてもなんでここに行きつくのか意味不明」だったけれど、大好きなレディー・ガガになれると、恥ずかしさを超えてハッスルしたら、(何かが降りて来て)「レディー・ガガ以上の化け物になっちゃいました」そうです。化け物というより、永井豪さんの漫画『デビルマン』に登場する悪魔=妖鳥シレーヌですね。そう、ゼブラウーマンはシレーヌのように美しい! しかも里依紗さんは大変聡明な方で、そのあたりもニワトリさんの「君のためなら死ねる」岩清水ゴコロを刺激したのでした。
余談ですが、「早乙女愛よ、岩清水弘は君のためなら死ねる」と言えば、同じ三池監督の(現場監督のクレジット、愉快でした)『愛と誠』をまだ見てないんだけど、岩清水君を斉藤工が演じているんだよね~。彼が岩清水を演じてくれるなんて嬉しいですね。いよいよ好きになりました。
歌い、踊り、大立ち回りを演じる仲里依紗は最強の極悪ヒロインで、恋人にしたら最悪にして最高の人生が送れそう! この映画の中で誰になりたいかと聞かれたら、迷うことなくゼブラQにぞっこんな日本刀の達人=新見なのですが、それもその筈、彼女はシリーズ4作目『チャッキーの花嫁』で、あのチャッキーをたじたじにさせた極悪非道花嫁ティファニー(演じたのはジェニファー・ティリー)以上にぶっ飛んでいて、同じ三池監督だと、前作『ゼブラーマン』のゼブラナース(熟女=鈴木京香さんのあのコスプレも捨て難いけど)を軽く蹴散らし、『ヤッターマン』のドロンジョ(ふかきょんドロンジョ、実に素敵だったけど)もかすんでしまうほどのオーラを放っていました。
「双六ならこれで上がり」的な役を演じてしまった後も順調にキャリアを重ねていて、現在放送中のテレビドラマ『つるかめ助産院 ~南の島から』では、映画『ハラがコレなんで』に続いて妊婦役を演じています。本人としては大チャレンジなのでしょうが、細かい心の動きを台詞ではなく体で演じており、彼女の「役を生きる」能力、「行間」の表現力に感心するばかり・・・。
一晩経って映画酔いが覚めてふと思いました。「映画と同じように、遠心分離機にかかって『白黒つけた』としたら、黒いニワトリさんとして生まれてくるのは誰だろう?」
ゼブラQが生まれてきたら最高ですが、「野田さん」でも楽しそうです。もっとも野田さんのトレードマークは灰色のトレーナーで、黒を着た野田さんを想像するのも難しいのですが、彼女のことだから理詰めでネチネチと極悪非道を仕掛けてくるのでしょうか?
冗談はさておいて、白のゼブラーマンと黒のゼブラウーマンの関係は、テリー・ツワイゴフの『ゴーストワールド』(00)におけるシーモア(スティーヴ・ブシュミ)とイーニド(ソーラ・バーチ)の関係と同じで、クドカンがこの作品からインスピレーションを受けた可能性もありそうです。『ゴーストワールド』を初めて観たとき、シーモアは自分で、イーニドは二十年前の自分だと思いました。その意味ではこの作品は、中年男性が女子高校生(の実は自分自身)に恋する、痛くて愛おしい映画なのです。ゼブラーマンは、ゼブラQをそれほど意識していない感じでしたが、同じことが『ゼブラシティの逆襲』にも言えそうです。白黒つけなくても、親になれば可愛い娘を持てたりするのですが、そちらの方は間に合いそうもありませんね。
彼女のことばかり書いたけれど、エイリアンに憑依される少女を演じた永野芽都も、ちょっと不思議な感じでした。三池監督の本命は、もしかするとこっちかも?
ブルーレイで観たい仲里依紗と言えば「全部」だけど、筆頭にあがるのが同じ年に撮影された『時をかける少女』です。三池監督作品だと『不動』と『DEAD OR ARRIVE』三部作。『不動』は高値で取引されているDVDの出来が非常に悪いので、ブルーレイで蘇ってくれたら言うことなしなんだけど・・・。軍資金もすっかり尽きていることだし、邦画のブルーレイは、とにかく気長に待ちましょう!
(『空気人形』のブルーレイ、早く出して!)
ゼブラQ三変態 其の壱 相原ユイ
其の弐 ゼブラクイーン
其の参 ゼブラウーマン
よく見ると、妖鳥シレーヌそっくり! 実写版『デビルマン』は三池監督が撮る筈でした・・・。
「シレーヌ、血まみれでもきみはうつくしい」 同じ言葉をゼブラウーマンに捧げます。
白と黒の対決。主役は向かって右のゼブラーマンです(翔さん、ごめんなさい・・・)。
同じ年に撮影された『時をかける少女』から。同一人物です(念のため)。
二十歳の君。彼女が放つ恋の矢でハートを射抜かれたい?
映画を見終ってからチマチマ書いてたのですが、頭がすっきりしてる朝になって、少しはまともな文章になりました・・・。と思ったら、ゼブラQの三変化をどこで取り違えたのか、間違えて記してました。もちろん、相原ユイ⇔ゼブラクイーン⇒ゼブラウーマンです。ガダルカナル・タカをボコボコにしたゼブラミニスカポリスはスピンオフしたけど、ゼブラガール?なんていません。スーパーマン→スーパーガールと同じ変換しちゃったのかなあ?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます