ホテルでの楽しい出来事
ドイツのホテルでは比較的静かに、一人で過ごすことが多い。
ま、インターネット環境もそれなりのホテルはそれなりにしっかりしているので、プレッツェルをかじりつつ、
炭酸入りミネラルウオーターを飲みながらごろごろするわけです。
そんなある日、気分転換にロビーに降りていくと(実はフロントにおいてある飴玉を狙って行ったのだが)、なんと、ロビー横にあるカフェとバーが一体になって、そこそこなカクテルパーティが開かれているではないですか。
しばらくボーッと眺めていたのだが、長期のヨーロッパ出張で相当人恋しくなっていたのか、あるいは羨ましそうにしていたものか、つかつかと、おばさん風のレディーが、いやレディー然としたおばはん、が歩み寄ってきて言うことには、
「ホテルにお泊りになってらっしゃるの?」と綺麗な英語で。
「ええ。」
「中国人?」
「いや、日本人なんですけどね。これでも・・」
「あら、まあ!ごめんなさいね。」
「いえいえ、よく間違われますから。」
「よかったら、こちらで一緒に飲みません?」
「いやあ、皆さんお楽しみのようですしねえ。」
「あーら、いいのよ。気軽な集まりだし、時間内はどれだけ飲んでも料金のうちだから。」
「や、しかし・・・。」
「じゃあ、一杯だけでも付き合って。どうせ、部屋に戻っても一人でしょ?」
「恥ずかしながら、まったくそのとおりで。」
「じゃあ、いいわね。どうぞ、こちらへ。ねえ皆さん、日本からのGUESTよ。」
「おおーっ!」てな声が上がって、ビールとシャンペンんが運ばれてきた。
かくして、一人だけ珍妙なスタイル(完全カジュアル)で入り込んだもんだから、ドレスや、そこそこの
スーツに身を固めている皆さんの中に入ると、アンバランスこのうえない。
もともと盛り上がっていたところへ、引き出された珍獣のあっしは、あちらこちらからの質問攻めでクチャクチャ。話の内容からすると、どうやらこの会は、街の環境保全を推進しているメンバーが集まったものらしく、あそこの花壇は狭すぎるとか、あの通りはごみがまだ多いとか、犬の始末が徹底できていないとか、うちはついにソーラーパネルを屋根一面に取り付けたとか、そんな話に花が咲いている。
一部はすでに方を組んで、大声で合唱がおっぱじまっている。
ドイツ人やアイルランド人が、歌い始めるのは今に始まったことではないが、流麗なクラシックがBGMで
流れているこの場所で、肩を組んで、こぶしを振って、大声で歌うってのは・・、どう?
周りの反応はというと、“また、始まった。”とばかりで、誰もかまう様子はない。
最初は、レディー然としたおばはん&COとお話していたのだが、いつの間にか、野郎共に巻き込まれ、
かつ、ジョッキのサイズが先ほどよりも一回りおっきくなってしまっている。
つまみはソーセージにあっしの好きな酢キャベツ、チーズの盛り合わせ、ナッツなどの簡単なもので、あくまでも皆で飲んで、楽しくなろう。という趣旨らしい。
(そんなら、近所のパブを借り切ればいいようなもんだが、そこはやはり区別したい皆さん達なのでしょう。)
なかには、「俺のおやじは日本の将校と親しかった。」だとか、「日本には数年住んでいた。あそこは今どうなっている?」というおっさんも居たりしてなかなか楽しい。
普段つつましく暮らしているのはこういうときのためとばかり、こんな席でのドイツ人はあくまでも陽気で楽しく、そして騒がしい。
いつのまにやら、巻き込まれて楽しい酒(しかも、無料ときてる)。
最終最後までお付き合いしたうえで、皆さんを送り出し、激励をいただいて久々に楽しい夜。
ご訪問有難うございます。
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