トルコで知り合った、ナイスガイD氏が日本に来ることになった。(トルコ編参照)
現地では世話になったので、日本に来たらあちこち案内してあげようということで、ホテルの予約やら何やら、準備万端整えていて、まあ、成田も迎えに行ってあげよう。などと考えていたのだけれど・・・
「たーさん、仕事が長引いて日本に着くのは、9時ごろになる。」と台湾からの電話。
「じゃあDさん、携帯の電話番号教えておくから、何か不都合あったら電話してよ。」
「OK、わかった。悪いな。」
その日の夜は、他に予定があったので、何かあったら電話がくるだろうと思っていた。
翌朝、ホテルに迎えに行く。
おお、Dさんだ。ちょっと疲れてるっぽいなあ・・・・
「アロー、たーさん。待ってたぜ。まずは、たばこをくれ。」
「はあ?」
「どうしたんです。たばこ売ってなかった?」
「いや、そうじゃないが。まあ、聞いてくれ。」
Dさんがコーヒーショップで語りだした、成田に到着してから今朝に至るまでのストーリーは語るほうは涙、聞くほうは大爆笑の物語。
昨夜、台湾から到着したフライトがそもそも遅れてしまい、成田に着いたのは10時を回っていたらしい。
当然、僕がこのルートで来るようにと指定した便は終わっていて、さて、どうしたものか?と思ったのだが、新宿まではバスを出してくれたらしいが、その先がわからないので、タクシーで行くことにしたと。
タクシーに乗るためには、日本円が必要なので、空港中探し回ったが、両替できる場所がない。
ままよ。ということで、US$200.00を運転手に見せて、宿泊ホテルまで行ってくれ。と頼んだところ、少し英語が
わかる運転手だったのでしょう。快く引き受けてくれたそうです。
やれやれ、これでホテルに着くと思ったDさん。残り少ないたばこを車中で消化してしまった。
ホテルにチェックインしたDさん、荷物を置いて、たばこを買うために両替をしにフロントに行ったのだそうな。
ところが!
このホテルはそこそこ有名ではあるものの、両替の対象はUS$,ユーロ、イギリスポンドの3種類しかなかった。
しかもUS$も100ドル以下は交換できないと言われてしまった。勿論台湾ドルも、香港ドルも駄目。
頭に来たDさん。それなら、銀行のキャッシュカードを使おうとATMの場所を聞いていってはみたものの、海外対応されておらず、現金の引き出しもできない。
そろそろ、我慢の限界も近づいて来たDさん。さすがです。
「たーさん、そこで俺は名案を思いついたんだ。バーに行こうと。」
「なるほど。」
バーに行けば、当然たばこはおいてあるだろう。酒を呑んで、たばこを買って、全て部屋にチャージしておけばよい。
そう考えて、バーに行き、ウオッカコリンズを注文し、やれやれと一呼吸おいてから、ウエイターを呼び、たばこを注文したところ・・・・
「お客様。たばこは現金になります。」と冷たく一言。
金もない。たばこもない。さすがに打ちのめされたDさん、「もう、寝よう。」
とあきらめたそうです。
僕からもらったたばこをおいしそうに吸いながら、Dさんが言った言葉は印象的だった。
「たーさん、俺はなあ、東京は世界に冠たる国際都市のひとつだと思ってた。つい昨日までな。だけど、実はそうじゃなかったんだなあ・・・」
彼も、ヨーロッパをはじめ、アジア、中国、中近東、アメリカと飛び歩いていて、殆どコスモポリタンになっている。
そんな彼の言葉に、なぜだか、日本人として非常に寂しい気がした。
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