小劉の言葉通り、たーさん、という日本名で予約がされていた。
ので、珍しいらしく、すぐにご案内。
こんなときの半ば常識ではあるけれど、部屋の番号は88番。
お定まりの上座の譲り合いから、席が決まると、酒の注文を取りに来る。今日はビールのプロモーションをやっているらしく、際どい服のお嬢さん達が多数繰り出してきた。
ビールに混じって、安徽省の白酒プロモーターが。
安徽省の酒は俗に垸酒と言って、比較的飲みやすい白酒。値段も安いし、これに決めましょ。
「お嬢さん、じゃあ2本ね。それと、花干梅と水を持ってきてくれ。」
「花干梅、ですか?」
「そう。作り方はあとで教えるから、なければ外で買ってきて。」
狐につままれたような顔で戻っていくお嬢さん。
上海あたりでは、まだまだ僕らの飲み方は一般的になっていないので、カラオケでも梅をおいてあるところは稀だ。
程なく瓶の入った箱と、いろいろなプロモーショングッヅを抱えたお嬢さんが戻ってきた。
「この店は紹興酒も置いてあるそうなので、梅はありました。」
「おお、良かったじゃない。他のは?」
「えーっと、ライターと、小物入れと、ミニチュアボトルです。どうぞ。」
「ありがとう。」
「で、酒は誰が作るんだ。」ミニスカートをはいたプロモーションのお嬢さんが元気よく、
「私がやりまーす!」
「そうなの?じゃあ、ちゃんとひざをついて皆さんと同じように作らなきゃね。」
「えーっ?見えちゃいますよ。」
「それもプロモーションのうちじゃあないの?なあ。」兄貴が横からペルシャ猫のような表情で口を出す。
「じゃあ、なるべく見えないように作らなくちゃあ。」
結構ノリノリでキャッキャ言いながら準備にかかるお嬢さん。
(なるべく見えないように・・・ってナンだ?ちょっとなら見えてもいいってことか?)
軽口をききながらも、中国カラオケのシステムはどんどん進んでいき、
ママさんが名刺を渡してくれながら、お嬢さんを並べていき、兄貴をはじめ他の2人もセレクション完了の様子。
僕はといえば、プロモのお嬢さんに梅入り白酒の水割りの作成方法を懇切丁寧に教えていたので、(ちょっと見えつつ)一番最後になってしまった。
「さあ、たーさん。選んじゃえよ。」
「んん・・、いや次にしようかな。ママ、ちゃんと選りすぐりで連れてきてよ。Kellyみたいなのがいいんだけどな。」
「英語喋れなくていいのかしら。」
「大丈夫。」
「じゃ、ちょっと待ってて。」
10人並べるスタイルではなく、3-4人を連れてきた中に、タイプの女の子が一人。
「ママ、右から2番目ね。」
「はーい。よろしくお願いします。」
新疆の踊り子はチップがわりということもあって、100元ということだったが、いやもう大満足。
まるで、マジャール人のような女の子がアラビアンナイト風に20分はたっぷり踊ってくれる。スタン系の顔立ちで中国語を喋るってえのが、またシュールで面白い。
お定まりのどんちゃん騒ぎの宴。
台湾人の老板も途中挨拶にやってきて、兄貴の隣に座り込んで一緒に飲んでしまっては、宴はエスカレートするばかり。
同行の二人もなかなかの芸達者で、歌あり、踊りあり、ゲームありでお嬢さん達もすっかり酔っ払っている。
老板のおかげで、予算よりも相当安く、しかも次回使用可能な金券とVIPカードも出してもらい、なおかつ帰りまで、店の車で送ってもらってしまった。
帰りは総勢8人なのに、GMのワゴン。到底乗り切れるわけもなく後席はひざの上に乗せている始末。
久々に気の置けない、楽しい宴。
ご訪問有難うございます。
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