マルセイユ。
イタリアあたりから入るとあまり気にならないマルセイユの街並み。
an Provinceというくらいだから、とにかくイタリアのプロバンスに近い。住んでいる人達もそういった人が多いし、結構気性も荒いので、アルザスあたりのインテリと違って、まあ、まずマルセイユ出身でパリ市内で成功するのは非常に難しいと言わざるを得ない。
とはいえ、おいしい魚介類とブイヤベース、ロゼの本場でもあるこの地域は、食べ物と風景には困ることがない。
個人的にはあまりブイヤベースは好きになれないけれど、新鮮な魚料理がふんだんにあるし、サラダもイタリアほど葉っぱだけということがないので、重宝な街。
現地での仕事のパートナーM氏は若いころからCITROENのファンで、誰がなんと言おうともCITROEN。 今でもCITROENの最高機種を自前で乗り回している。 見た目も細身のイタリアンという風情で、その物腰はちょうど、アニメのルパン三世をおじいちゃんにしたような按配だ。
無類のスピード狂でもある彼は、あそこいらの高速となると、軽く180Kmは出してしまうし、その最中に話しかけてくるので、危なくてしようがない。 彼のワイフであるZもたしなめるのだが、聞きゃあしない!
この日もパリからTGVでマルセイユに到着すると、Mがワイフと一緒に迎えに来てくれた。
「Mさん、話は到着してから聴くからさあ。ちゃんと運転しようよ。」
このおっさんも、カナダのSと同様、どんなときでも人の目を見ながら話をする。
「何を言う。ちゃんと運転してるぞ。」
「もう若くないんだからさあ。 安全運転で行こうよ。」
「たーさんにゃ言われたくないな。 前にニースに行ったときに何キロだした。」
「あの時は、日帰りしなきゃいけなかったから仕方がないじゃないの。」
「いいや、あのときはさすがの俺も怖かった。 この車がそんなにスピード出るとは思わなかったしな。」
「アクセル踏みゃあスピードは出るさ。」
「そりゃあ、そうだが、あの道であのスピードはなあ・・・、なあ、Z。」
「たーさんの言うとおり、もう少しスピード落したら。反射神経は衰えてるんだから。」
「Zまで・・・。」
こんな会話を180kmで走りながらしてるわけだ。
彼の自宅は、小高い丘の中腹に建っていて、プール、ワインセラー付きの大豪邸。自宅兼事務所ということになっているので、彼の自宅で打合せということになるのだが、困るのはお宿。
個人的な諍いはないのだが、意見を違えると、徹底的に主張するのがフランス人の悪い癖で、長時間たった一つの事柄で議論することになる。とにかく疲れる。
1日くらいは彼のワイフZの手料理(これが実にうまい!)を食べて、子供達が独立した部屋を貸してもらって、プールサイドで遅くまで彼がワイナリーから取り寄せているロゼのワインを飲みながら話し込んだりするのもいいのだけれど、これが、毎日続くとなると苦痛になってくる。
パリ市内はなにかと神経も使うし、ホテルの部屋もけして広いとはいえないので、せっかくマルセイユに来たときくらいは、街中からは少し離れてはいるものの、週末に向けて、SOFITELに投宿するのが、ヨーロッパの中では秘かに楽しみにしているのに・・・。
ここのSOFITELは兎に角、部屋が広いし、バスも大きいし、何より海に面した丘の上に建っていて、海を見ながら食事ができるというおまけがついてくるので、お気に入りのホテルの一つだ。
今回は3日間の日程で来ていて、ホテルの予約を彼の秘書兼ワイフのZに頼んでいたのだが・・・。
「Mさん、申し訳ないけど、そろそろチェックインしに行かないと。」
「んっ?どこに?」
「いや、SOFITELにさ。」 本格的な暖炉が真ん中にあるリビングに座って話していると、
「予約はないぞ。」
「はあっ!?」 振り返ってZのほうを見ると、手を広げて眉をあげている。
しまった!
「ということは、AIXの市内まで戻らないと、宿が取れないってこと。?」
「いや、予約はしていない。だから、今日はここに泊まることになる。」
「や、明日の午前中は買物もちょっとしたいしさ。」
「これから予約を入れても、夜道が危ないから、送れないぞ。スピード出しちゃうしなあ・・・。」
くっそー!このたぬき親父め!はなからその気だったんだな。
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