ジャカルタからスラバヤに向かう途中の温泉リゾートホテルに投宿。
タイルの床にラタンの椅子やテーブルが配置され、南国ムードたっぷりなのだが、特に大きな建物があるわけでもなく、英語が通じるわけでもない。ボーイに導かれるままに、外にでていくと、いくつかバンガローのようなものが暗闇に浮かんでいる。
「これに泊まるのか?」
見た目は、とんでもない田舎の離れのような造りの掘っ立て小屋、といっていいようなコテージ?に案内され中に通される。ごゆっくり・・というような言葉をかけて、去っていくボーイ。
部屋の中を一通り見渡した感想は・・・
「ああ・・・・・」
スーパーに売っているような、オレンジのフードがついたペンダントライト、この色にコーディネートしているのか、オレンジ・・というか、腐りかけたみかんのような色のベッドカバー、ライトにはご丁寧にくもの巣がかかっているし、肝心のベッドには小虫の死骸が散乱している。
「むむ!!これに寝れってか?まあ、一晩位こんな野趣あふれすぎる宿に寝るのもいいか。温泉付きだし。」
で、肝心の温泉風呂はっ、と。このドアだな。
期待に胸を膨らませてバスルームのドアを開ける。
期待の内容は、小さいバスルームながら、ちょっとした広さのバスタブに満々と温泉がたたえられていて、ちょいと
花なんかうかんでたりして・・・。
たった2秒で裏切られた期待。
空っぽのバスタブ、バケツに溜まったお湯、湯を汲む奴・・なんて名かわかんないけど。
チョロチョロと流れ出るお湯。お湯は相当熱く、水がないと何もできないが、肝心の水が出ない。内線で聞こうとしたが、通じないので、てこてことフロントまで歩いていき、クレームを言うと、先ほどの雷つき豪雨で水が出なくなったとのたまう。
「駄目だ。温泉は捨てがたいが、水も出ないこのホテルに僕は泊まれない。ジャカルタに引き返すか、他のホテルに変えてもらおう。」
決心した僕は、マネージャとRの宿泊している部屋に向かう。
コンコンとノック。
「おお、たーさん。どうしました。」
「R,悪いけど、このホテルには泊まれそうにない。ジャカルタに帰ろう。」
「なんでまた?」
「実は、かくかくしかじか・・・。到底さすがの僕もここでは寝られない。」
「うーん。」
R本人はどうしたものか、あの熱いお湯をつかったものか、頭も洗ってしまって着替えているし、部屋の中を見ると、ルームサービスを頼んだらしい。炒飯の皿が平らげられている。
「よし、じゃあここはキャンセルして、元オランダ人が作ったホテルにしよう。あと2時間ほど車で走るけど、大丈夫?」
「いや、ちゃんとしたホテルであれば、あと何時間でも車の中のほうがいいよ。」
少しの間やんでいた雨も、ホテルを出る頃にはまた激しく降りだし、ワイパーをハイスピードにしても全く前は見えない。さすがに馴れている現地のマネージャはものともせずに運転しているが、こちらは、片側が崖のようになっているので、気が気じゃあない。彼らは風呂に入り、のんびりしていたので、そんなに疲れも見えないが、カルチャーショックを伴う、ぐだぐだの時間を過ごしていた僕は、疲労困憊で目もあまりよく見えなくなってきている。
2時間チョッと走ったところで、やっと、ダッチコロニアルスタイルの洋館が見えてきた。
こんなくそ田舎まで、やってきていたオランダ人に感謝するほかはない。
タイルの床にラタンのベッド、ランプはガラスのシェード、内容は殆ど変わらないのに、こんなにもローカルアレンジとオランダ風は違っているのだ。
やっと今夜はゆっくり眠れそうだ。
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