温泉にて、

昨夜、近所の温泉にて、
靴を盗まれた。

そんな立派なモノではない。
コンバースのハイカット。
それを、踵潰してスリッパ履きしてるものだ。

温泉のおばちゃんに話し、
何か履くものを貸して欲しいと伝える。
暫らくして、
小汚い靴底が剥がれたズックを持ってきた。
返さないで、捨てても良いと。

ありがたく頂戴して帰る。

この拝借したズックは、
もう何年も取りに来ない忘れ物だという。
忘れ物というよりは、
置いて行ったモノだろう。

ははあ、
この手の人間は、自分の履物が古くなると、
温泉の靴箱から適当な物を選んで、
履き替えているという事か。

良い悪いは別にして、合理的ではある。

兎も角、
おばちゃんの善意で、
冷たい思いをして帰らなくても良かった。


家に帰って話しをすると、
父は、もう二度ほど長靴を盗まれているらしい。