【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「4分間のピアニスト」:亀島橋バス停付近の会話

2007-11-17 | ★東16系統(東京駅~ビッグサイト)

医療福祉専門学校ってなに?
はりとか、お灸の先生を育てる学校らしいぞ。
じゃあ、私の肩こりも診てほしいなあ。
お前のは、年のせいだろ。その年じゃ肩こりのひとつやふたつ、しょうがないんじゃないの?
なに、たわけたこと言ってるの。私の肩こりは、年のせいじゃなくて、ピアノのせいよ、ピアノのせい。
あれ、そんな肩こりになるほどピアノ弾いてたか。
少なくとも毎日4分は弾いてるわよ。
そりゃ少ない。4分間のピアニストだな。
3分間だとカップ麺ピアニストだけどね。
で、腕はどうなんだ?
映画の「4分間のピアニスト」には及ばないかな。
あたりまえだ。映画の「4分間のピアニスト」は血のにじむような想いでピアノを弾いている。
ほんとに、ダラダラ、血を流しながら演奏するんだもん。びっくりしたわ。
刑務所に収容されている反抗的な若い女囚と、彼女にピアノの才能を見出した老ピアノ教師の女同士の師弟の闘いの物語だ。
それぞれに傷を抱えた二人がピアノコンテストへ向けて練習していくんだけど、練習っていうより、文字通り、女の闘いよね。
二人三脚どころか、三十人三十一脚だ。
どういう意味?
二人の足並みが全然そろわない。
ピアノだから、指並みじゃない?
とにかく、あの若いピアニストのふてくされた態度。老いた教師の厳しい目つき。二人とも、少しは笑ってみたらどーよ、と思っちゃうけどな。
ほんと、ほんと。あの二人の間に、小島よしおでも割り込ませたくなっちゃうわよね。
うーん、そういう映画じゃないと思うけど。
あら、せっかく話合わせたのに、何、その手のひら返しの態度。
老女教師が言うじゃないか、「私には音楽しか興味がない」って。演奏がすばらしければそれでいい、どんな人が弾いていようと、関係ないっていう、実にストイックな態度だ。
「そんなのカンケーねぇ」ってわけね。
うーん、小島よしおが好きなわけ?
一応・・・。
とにかく、そういうストイックさに覆われた物語が、寒々とした感動を呼ぶ。いかにも、ヨーロッパ映画らしい凛とした映画だ。
ドイツ映画だけに、ナチの影もチラッと出てくる。
圧巻はやっぱり最後の4分間だろう。
あれには圧倒されたわ。紆余曲折があってようやくピアノコンテストまでたどりついて、二人は深い絆で結ばれました、って物語かと思ったら、若者は古い世代を乗りこえて行くって物語だった。
それをことばでなく、ピアノの演奏で見せるところが、すごかった。ちょっと反則技に近いけどな。
私なんか鳥肌が立ったわよ。
俺は柔肌が好きだよ。
・・・意味わかんない。
すまん。つい、本音が出た。
でも、あれだけ全身使ってピアノを弾いたら4分間といえども、疲労こんばいするわよね。
ああ、肩もこるだろうなあ。
そういうときのために、医療福祉専門学校があるのよね。
そうなの?

ブログランキング参加中。クリックをぜひ、ひとつ。

ふたりが乗ったのは、都バス<東16系統>
東京駅八重洲口⇒通り三丁目⇒八丁堀二丁目⇒亀島橋⇒新川⇒住友ツインビル前⇒リバーシティ21⇒佃二丁目⇒月島駅前⇒新月島公園前⇒日本ユニシス本社前⇒IHI前⇒豊洲二丁目⇒豊洲駅前⇒深川五中前⇒東雲橋交差点⇒東雲一丁目⇒ジャパン・エア・ガシズ前⇒東雲都橋⇒都橋住宅前⇒かえつ有明中高前⇒有明二丁目⇒有明テニスの森⇒有明一丁目⇒フェリー埠頭入口⇒東京ビッグサイト






最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (くまんちゅう)
2007-11-17 19:36:54
最後の4分間は凄まじかったですね、一瞬唖然としましたが、ジェニーの心の叫びが聞こえてきました、正に血の滲むような。
表面上はイガミ合っている中でも魂が触れ合っているのを感じました。

ところで専門学校では肩こりも診てくれないと思うだけど・・・
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-11-18 21:17:31
■くまんちゅうさんへ
あの4分間はピアノ映画の名シーンとして残るんでしょうね。
でも、やっぱり専門学校に行っても肩こりは診てくれないですかね。学生の治験者でもいいんですが。
返信する
おじゃまします♪ (jester)
2007-11-19 07:55:12
こんにちは~

このところ音楽の映画を続けて鑑賞してるのですが、この映画、「Once ダブリンの街角で」に続いて秀作でした!

地味だけど、最後まで気を抜けない展開でしたね~

彼女が本当に殺人を犯したのかはわからずじまいでしたが、あの激しさなら犯しかねないとは思いました。
でも父親がいっていたことが真実なら、それで傷つき、誰も信じられなくなってしまったのでしょうね。
私も見ていて祈っちゃいました。

返信する
そんなの関係ねぇ~ (シャーロット)
2007-11-19 14:22:24
こんにちはー。
さいこーに楽しいレビューですー。笑いました
笑いとか温かさとか皆無でしたから、ほんと何かバラエティー番組とか見せてあげたくなります。
でもドイツというお堅い頑固な職人の国だと思って見れればそれもなんとなくわかるでしょうし、ラストも新しい時代、文化の幕開けのような気もしてきます。

あ、肩こりひどいんですが。実験台でもいいからただでどこかで診て欲しい。。ってやっぱり素人ではこわいな。
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-11-23 23:07:52
■シャーロットさんへ
肩こりがひどいときにこういう重い映画を観ると、いっそう肩がこるかもしれませんね。次に観るのは、軽い映画のほうがいいかなと思ったりもします。

返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-11-23 23:11:47
■jesterさんへ
ほんとに彼女のあの激しさは、癒えることがないんじゃないかってほどで、いったいこの後の人生をどうやって過ごしていくんだろうと心配になってしまいますね。
返信する
こんばんは。 (rose_chocolat)
2007-12-02 17:45:45
もしかして、ジェニーの背中を見て、
「そんなの関係ねぇ~!」 が出てきたのですか。。。 ^^;

最後のピアノすごかったですね。
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-12-02 18:34:41
■rose_chocolatさんへ
いやあ、そこまでは気がつきませんでした。
でも、最後のピアノは小島よしお以上の迫力でしたね。・・・て、たとえがサイアク?
返信する
肩凝り~ (latifa)
2007-12-22 11:00:15
ジョーさん、こんにちは!
ジョーさんのレビューは、いつ見ても面白いので、読んでいて肩凝りがほぐれる感じです^^

劇場にね、マッサージ機能付き椅子の特別席なんかあったら、利用してみたいな~。フットマッサージでもいいや。まぁ、まったり見られる映画じゃないとダメでしょうけれども・・・ でも寝ちゃったらマズいか!
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-12-24 09:01:44
■latifaさんへ
マッサージ付きの椅子、いいですねえ。
そこで寝てしまうかどうかで、いい映画だったか
どうか、試されそうです。
返信する

コメントを投稿