【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ドラゴン・タトゥーの女」

2012-02-13 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)


さすがは、デビッド・フィンチャー。この手の映画を撮らせたら右に出る者はいない。
常軌を超えた主人公の造型の確かさ。スピーディかつ切れのある映像のみごとさ。複雑に入り組んだ話を整理する手さばきの良さ。
目をそむけたくなるような残虐なシーンを織り込みながらも、北欧に降り積もる雪のような静謐さをたたえたトーンが基調に流れている。
殺人事件の謎解きも興味を引くけれど、それ以上にドラゴン・タトゥーの女の冷やかな表情の奥にある深い心の傷。
凄惨な物語の解決の果てに待っていた、切なすぎるラスト・シーン。
鎧かぶとを纏わなければ生きてこれなかった少女の、その鎧かぶとを脱いだ瞬間が一瞬、垣間見え、そして・・・。
演じるのは、ルーニー・マーラ。
ほとんど馴染みのない女優だけど、ことば少ない中に、強靭さと繊細さを全身で表わしていて、いままでの女優にはないような新鮮な感じがある。
この難しい役を背負う女優を、デビッド・フィンチャー、よく探して来た。
そして、まったくブレないキャラクターを彼女に与えている。
ある意味、「家政婦のミタ」さんに通じるブレのなさ。
うーん、久しぶりに出たわね、ヘンな例え。
回想シーンに出てくる60年代の雰囲気つくりも怠りないし、猫の扱いも疎かにしない。
野良猫が出てきたときには、どこかのシチュエーションで生かすんだろうなと思ったら、やっぱり生かしてた。
生かしたというより・・・。
おっと、それ以上は言わぬが花よ。
そう、花。押し花のプレゼントで犯人に気づくべきだった。
いまごろ、遅過ぎ。
俺は、遅咲き。


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