Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

キリル・ペトレンコ雑感

2015年06月26日 | 音楽
 次期シェフにキリル・ペトレンコを選んだベルリン・フィル、意外に味のある選択だったかもしれない。スター指揮者(ドゥダメルとか‥)ではなく、渋いイメージの指揮者だが、実力がある――そういう指揮者と落ち着いて仕事をしたいということなら、これはずいぶん健全な話だ。

 キリル・ペトレンコは一度だけ聴いたことがある。ベルリン・コーミッシェ・オーパーの音楽監督時代に、大晦日だったか、元旦だったかのガラ・コンサートを聴いた。曲目が渋い曲ばかりで驚いた。名前さえ知らない曲が何曲もあった。でも、会場は満席。大いに盛り上がった。演奏は、よく覚えていない。情けないことに。

 ともかく、ベルリンっ子には馴染みの指揮者の一人だ。ベルリン・フィルの選択は、海のかなたのわたしたちには意外であっても、ベルリンっ子にはそうではないかもしれない。ベルリンに戻ってくる――そんな感覚かもしれない。

 でも、そんなことをいうなら、ティーレマンだってそうだ。ベルリン・ドイッチュ・オーパーの音楽監督だったので、馴染みといえばペトレンコと同じだ。ならば、やっぱり、ペトレンコはベルリンっ子にも意外だったのだろうか。

 ペトレンコはバイロイトのリング・チクルスで評判になった。演出はつまらないが、演奏、とくにオーケストラは凄い、という声が一般的だ。だが、今年限りで、来年は降りてしまった。なにがあったのか。芸術的な理由なんかではない気がするが。

 ペトレンコは現在バイエルン国立歌劇場の音楽監督だ。林田直樹氏の6月21日付メルマガには、「ある人から聞いた話」として、「バイエルン国立歌劇場での彼の指揮するオペラは、「始まったとたんにウワッと驚いて思わず腰が浮くほど」凄いものらしい。」という話が紹介されている。ここまで言われると、本当だろうか‥という気もするが。

 誤解のないように言い添えると、林田氏の論旨は、新たなスター誕生を喧伝するものではなく、レコード業界の地盤低下を論じるものなので、念のため。

 日本に住むわたしたちには、ベルリン・フィルのシェフにだれがなろうが、あまり関係がなく、むしろ日本の(いつも聴いている)オーケストラのシェフにだれがなるかが重要問題だ――とは思うが、そうはいっても‥、というのが正直なところだ。

 実はわたしは、某氏がN響とベルリン・フィルのシェフを兼ねる時代の到来を夢見ていたが、そんな時代はもう少し先のようだ。

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