その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今はクラシック音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書

お見事! 蜷川幸雄一周忌追悼公演 「NINAGAWA・マクベス」 @彩の国さいたま芸術劇場

2017-07-24 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


一度は観たいと思っていた「NINAGAWA・マクベス」の観劇がやっと実現しました。日本を代表する演出家蜷川幸雄氏の一周忌追悼公演です。照り付ける日差しによる暑さが東京以上のさいたま市与野の彩の国さいたま芸術劇場に遠征。席に着いたら、一番端だったけど、何と前から3列目。役者さんの息遣いまでが聞こえるポジションでした。

今まで、オペラ、演劇、映画などいろんな「マクベス」を観てきたけど、「NINAGAWA・マクベス」は、完成度・芸術性ともに間違いなくトップクラスで、感動度も群を抜いていました。

舞台設定を安土桃山時代に置きなおし、日本の武将の物語に仕立ててありましたが、全く不自然さを感じません。それだけマクベスが地域性よりも普遍性を持った物語である所以でしょう。

演出も実に凝ったものでした。舞台は仏壇の仕立てになっており、その中で芝居が展開するというつくり。原作にはない二人の老婆が仏壇の扉を開けて物語が始まります、老婆は終始舞台の上手と下手の端で座り込み、食事をし、編み物をし、時に嘆き悲しむのですが、舞台中央で展開される特別な物語の脇で、ごくごく普通の日常が進行しているという人間社会の二面性を表しているかのようです。

桜吹雪を初めとする舞台装置の美しさや効果的な照明にも息を飲みます。バーナムの森が満開の桜の木々とは驚きました。役者の衣装も歌舞伎風の華やかなもの(魔女の衣装や髪型が昔のNHK人形劇「新八犬伝」の玉梓とそっくりと思っていたら、なんと衣装の担当が辻村寿三郎さんでした)で、固有名詞がカタカナのほかは、どうみても日本の芝居。

これに、フォーレの〈レクイエム〉、ブラームスの〈弦楽六重奏〉、バーバー〈弦楽のためのアダージョ〉の音楽が、ちょっといかにもっぽいところはありますが、実に効果的にかぶさります。

 役者陣はやはりマクベス役の市村正親さんの演技が光ります。決断のマクベス、迷いのマクベス、開き直りのマクベスを夫々うまく演じていました。特に見せ場である第5幕のマクベス夫人の死の報せを聴いて呟く「人生は歩きまわる影法師、あわれな役者だ、・・・・」の部分は特に感動的でした。

 マクベス夫人の田中裕子さんもシュアな演技。野心だけでなく、マクベスへの愛を感じる演技は、私の好みです。マクダフの大石継太さんも良かった。城に残した家族が殺害された知らせを聞いた時のマクダフは感動てきでした。「マクベス」は今年2月にも別の劇団の公演を観ていますが、やはりこれだけのメンバーが揃うと、役者が違うよねと否が応でも感じてしまいます。プロですね。

 この芝居、海外でも絶賛されてきたとか。そりゃそうでしょと思います。ただ、唯一の違和感は、寺の鐘で物語が始まり、読経がバックで流れ、完全な日本物語で展開する「マクベス」の音楽にフォーレの〈レクイエム〉が使われているところでしょうか。何か、和洋折衷、和物も洋物も全部ごっちゃにして、まさに魔女がくべる鍋のように、混ぜ返しているのが本作品とも言えるのでしょうが、こだわる西洋人が観たら相当違和感があるではないかな?

 蜷川幸雄さんのシェイクスピア劇は「シンベリン」を観ていますが、正直「マクベス」の方が断然優れていますね。まさか「マクベス」に涙するとは思いませんでしたが、終盤のマクベスの散り際には、自然と涙が出てきました。

 10月には30年ぶりのロンドン公演とか。これは、ロンドンの日本人の方には是非見てほしいですね。30年ぶりのロンドンでどう評価されるのか興味津々です。




2017年7月17日 13:00開演
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

演出
蜷川幸雄

W.シェイクスピア
翻訳
小田島雄志
出演
市村正親、田中裕子、萬長、大石継太、瑳川哲朗
石井愃一、中村京蔵、青山達三、竪山隼太*、清家栄一、間宮啓行、手塚秀彰
飯田邦博、塚本幸男、神山大和、景山仁美、堀文明、羽子田洋子、加藤弓美子
堀源起* 、周本絵梨香*、手打隆盛* 、秋元龍太朗、市川理矩、白川大*、續木淳平*
鈴木真之介*、髙橋英希* 、後田真欧、五味良介、西村聡、岡本大地、牧純矢**、山﨑光**
*…さいたまネクスト・シアター
**…Wキャスト
主催
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

舞台「他重人格 WHO AM I?」 @東京芸術劇場 シアターイースト

2017-07-22 09:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 ご本人たちは全く覚えがないでしょうが、脚本の舘そらみさんと、若夫婦の奥さん役を演じた村井まどかさんとは、以前お話しさせていただいたことがあるので、そのご縁にひきつけられて池袋へ。千秋楽公演を観劇しました。

 相手が喜ぶように自分の行動を変化させる主人公は、人によって見られ方が全然違う。それがある事件をきっかけにあぶりだされていくという「人間の多面性に焦点をあてた、問題提起型コメディ演劇」です。

 登場人物がそれぞれ個性的で、話の展開もテンポが良いので吸い込まれるように観ました。俳優さんたちも熱演で、チームワークの良さを感じます。

 終盤に面白い仕掛けがあります。途中から台本がなくなくなるらしく、字幕で「この後は役者の自由です」と表示されます。さしずめ、 演劇のカデンツァといったところでしょうか。ただ、複数回見れば違いが判るのかもしれませんが、一見ではよくわからないです。こうした手法がよくある展開なのかどうか、私にはわからないですが、試みとしては面白いなあと思いました。

 違和感を感じたのは、WHO AM I?というサブタイトル。この演劇、主人公は人からの見られ方が違うことを全く悩ん出ないように見えます。「だって、××は喜んでいるんだから・・・」ということで、割り切っているように見えます。WHO AM I?ではなくWHO ARE YOU?のほうが、この演劇の趣旨ともメインタイトルの「他重人格」にも合っているではないでしょうか?

 正直、最後は何が言いたいのかよくわからないまま終わってしまった印象もあります。演劇カデンツァ部分も試みは面白かったですが、言わんとしていることが観客には意味がよくわからない台詞(発言?)もあり、ドラマなのかリアルの今ここにある現実なのか分からず、ドラマとしてのテンポやリズムが盛り下がった感があるのは残念でした。

 この芝居、3日5回で終了になってしまうのですが、もっと公演数を積めば、間違いなく完成度が高まっていくものと思います。どこかで再演をみてみたいです。


他重人格 WHO AM I?

日程
2017年07月12日 (水) ~2017年07月15日 (土)
会場
シアターイースト

作:舘そらみ 演出:福島三郎
出演
山崎 彬(悪い芝居)、大久保聡美、貴瀬雄二、
野崎数馬(丸福ボンバーズ)、多田直人(キャラメルボックス)
村井まどか(青年団)、小林瑞紀
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

超感動! ノット/東響 マーラー交響曲第2番「復活」ほか

2017-07-17 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 ノットの「復活」聴きたさに川崎まで遠征。期待をはるかに上回る感動的な演奏会でした。

 前半の細川の「嘆き」。「復活」前の体慣らし程度で臨んだところ、全くの私の見当違いで、作品、独唱、演奏どれも素晴らしい公演。東北大震災の被害者を追悼した作品ですので、テーマそのものが重いのですが、音楽も緊張感あふれるもので、加えて藤村さんの独唱がまるで霊感を得たような神がかった神々しい歌唱。ノーガード状態でいきなり超弩級のストレートパンチを貰い、胸が苦しくなるほどでした。

 そして、後半のマーラー交響曲2番は圧巻。冒頭の低弦の主題演奏から楽員たちの気合が3階席の私もビンビンに伝わってきます。「気持ち入っているなあ~」が最初の感想。ただ、その後の演奏は、強い気持ちが全体の演奏としてのパワーに結実せず、やや空回りしているような印象がありました。個人的にこの曲、結構生で凄い演奏を聴いてきたので、注文が多いのかもしれません。多重的、重層的な響きに欠けるように感じたり、金管にはもっとリスク取って、ドバーッと行ってもらいたかったところもありました。

 が、それは第4楽章で藤村さんの独唱からガラッと変わりました。藤村さんの清らかな歌声にまずほろっと。そして、第5楽章は最初から最後まで圧倒されっぱなし。ノットさんの激しい棒とオケががっぷりよつ。途中から不覚にも涙が溢れてきました。

 藤村さんのメゾはここでも神々しい。そして、出番こそ多くないものの、天羽さんのソプラノも美しく存在感が際立っていました。

 更に、東響コーラスの合唱も、美しくかつ安定的で素晴らしかったです。オケや独唱とのバランスも抜群で、オケに埋もれることも、逆にオケを覆いつくすこともなく、まさに楽器群の一つとして、極上の合唱でした。

 演奏後の拍手はもう少し待って欲しかったですが、気持ちはわかります。会場全体からの感動が拍手になってホール一杯に響きました。私も涙を抑えて、拍手拍手。

 演奏以外に2つほどのサプライズ。一つは、まずこのプログラミング。「復活」とは重すぎるぐらいの組み合わせですが、「復活」単独プログラムの場合が多い近年の演奏会事情で、こんな凄い「復活」とのカップリングは経験ありません、2曲、しかもその対に「嘆き」を持ってくるこの心憎いまでの心遣い。降参するしかないです。

 もう一つは、ミューザ川崎の雰囲気。東響の川崎定期は初めての経験でしたが、その温かさが感動的。演奏会が素晴らしかったのは勿論だけど、あの心こもった賞賛と感動の拍手も際立っています。ノットさんもあの聴衆の暖かい雰囲気では否が応でもモチベーション上がるだろうなあ。よそ者の私でさえ、感動をこれ以上なく共有できて、とっても良い気分です。

 記憶に残る一日となりました。


《楽員がいなくなってもノットさんへの拍手は続く》

川崎定期演奏会 第61回
Kawasaki Subscription Concert Series No.61

ミューザ川崎シンフォニーホール
2017年07月16日(日)14:00 開演 

出演
指揮:ジョナサン・ノット
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
ソプラノ:天羽明惠
合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)

曲目
細川俊夫:「嘆き」~メゾ・ソプラノとオーケストラのための
マーラー:交響曲 第2番 ハ短調 「復活」

Title
Kawasaki Subscription Concert Series No.61
Date
Sun. 16th July, 2017, 2:00p.m.
Hall
Muza Kawasaki Symphony Hall
Artist
Conductor = Jonathan Nott
Mezzo-soprano = Mihoko Fujimura
Soprano = Akie Amou
Chorus = Tokyo Symphony Chorus
Chorusmaster = Kyohei Tomihira
Program
T.Hosokawa : “Klage” for Mezzo-soprano and orchestra
G.Mahler : Symphony No.2 in C minor, “Auferstehung”

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

國重 惇史 『住友銀行秘史』(講談社、2016)

2017-07-15 09:00:00 | 


 珍書である。バブル時代の象徴とも言えるイトマン事件の内幕を描く暴露本であるが、日本経済を揺るがした経済事件の関係者のメモをもとにした本書のリアリティは何物にも代えがたい。

 イトマン事件そのものを知らないと本書では事件の構造は全くわからないだろうし、筆者の傲慢とも言える自信・自負心は吐き気を催すほどだが、銀行という組織で展開される政治力学のすさまじさや、筆者の貪欲な情報収集は迫力満点で、半沢直樹も高杉良の経済小説も全く敵わない。

 本書はあくまでも事件を特定の視点から見た生記録であるが、これが事件の中核にいたイトマン河村社長や住友銀行磯田会長を初め関係者には、日々この事件はどう見えていたのか?組織の腐敗、企業犯罪のケーススタディとして、これほど興味深い題材はないかもしれない。

《目次》
第1章 問題のスタート
第2章 なすすべもなく
第3章 行内の暗闘
第4章 共犯あるいは運命共同体
第5章 焦燥
第6章 攻勢
第7章 惨憺
第8章 兆し
第9章 9合目
第10章 停滞
第11章 磯田退任
第12章 追及か救済か
第13章 苛立ち
第14章 Zデー
第15章 解任!
第16章 虚脱
第17章 幕切れ
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

新国立劇場オペラ『ジークフリート』 (飯守泰次郎/東響) 

2017-07-12 07:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 公演から一月以上も経ってしまったけど、とりあえず記録として感想を。

 レベルの高い出演者とオケの熱演がミックスされた素晴らしい舞台でした。
 
 中でも3幕4時間出ずっぱりのジークフリート役のステファン・グールドが文句なしのMVP。大拍手です。1幕は意外と声が通らない印象があって、私もいま一つ乗り切れなかったのだけど、2幕、3幕と尻上がりに盛り上がり、3幕のブリュンヒルデとのやり取りは緊張感一杯で、舞台に釘付けでした。このオペラが、ジークフリートの成長物語であることがよくわかった。

 グールド以外にもミーメ役アンドレアス・コンラッドのテノールは滑らかで表現力豊かで、ブリュンヒルデ役リカルダ・メルベートのソプラノも気高い。主要歌手陣を非日本人で固めた陣容はさながらメジャーリーグ的な重要感と安定感に溢れるものでした。

 歌手陣だけでなく、飯守さん指揮の東響も熱演で、奥深いリング・ワールドを展開し文句なしです。

 演出もバランスが取れた違和感なく素直に舞台に入っていけるものでした。怪物がビニールの空気人形のようでチープだったり、4羽の鳥の衣装が場末のストリップ劇場のダンサーが身に着けるような、見ているだけで恥ずかしくなるような品のないものだったことを除いては、自然でしっくりくるものでした。毎年春に、東京春音楽祭のヤノフスキ/N響の演奏会方式による素晴らしいパフォーマンスを見ていると、余計な演出など無用ではと思ってしまうのですが、初めて「ジークフリート」を舞台付きで見て、やっぱりプロダクションが付いた方が作品の理解には役立ちことを実感。

 長さを感じさせたのはお尻だけで、4時間の上演時間も全く気にならない集中した公演でした。



2017年6月4日

指揮 Conductor
飯守泰次郎 IIMORI Taijiro
演出 Production
ゲッツ・フリードリヒ Götz FRIEDRICH

美術・衣裳 Set and Costume Design
ゴットフリート・ピルツ Gottfried PILZ
照明 Lighting Design
キンモ・ルスケラ Kimmo RUSKELA
演出監修 Supervisor of Stage Direction
アンナ・ケロ Anna KELO
演出補 Revival Director
キム・アンベルラ Kim AMBERLA
舞台監督 Stage Manager
村田健輔 MURATA Kensuke

ジークフリート Siegfried:ステファン・グールド Stephen GOULD
ミーメ Mime: アンドレアス・コンラッド Andreas CONRAD
さすらい人 Der Wanderer:グリア・グリムスレイ Greer GRIMSLEY
アルベリヒ Alberich:トーマス・ガゼリ Thomas GAZHELI
ファフナー Fafner:クリスティアン・ヒュープナー Christian HÜBNER
エルダ Erda:クリスタ・マイヤー Christa MAYER
ブリュンヒルデ Brünnhilde:リカルダ・メルベート Ricarda MERBETH
森の小鳥 Waldvögel:鵜木絵里 UNOKI Eri
九嶋香奈枝 KUSHIMA Kanae:安井陽子 YASUI Yoko
吉原圭子 YOSHIHARA Keiko:
森の小鳥(ダンサー)Waldvögel(Dancer):
6/1. 6/7. 6/14 五月女 遥(新国立劇場バレエ団)SOUTOME Haruka (The National Ballet of Japan)
6/4. 6/10. 6/17 奥田花純(新国立劇場バレエ団)OKUDA Kasumi (The National Ballet of Japan)

管弦楽 Orchestra:東京交響楽団 Tokyo Symphony Orchestra
協力 Cooperation:日本ワーグナー協会 Richard-Wagner-Gesellschaft Japan

芸術監督 Artistic Director:飯守泰次郎 IIMORI Taijiro
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

即役立ちそう・・・ 戸田 久実 ほか『マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント 』(JMAM、2016)

2017-07-09 07:00:02 | 


 マンガが全ページの7割を占め、1時間余りで読める本だが、とっても気づきにつながる一冊だった。最近、職場の人間関係で悩むことがあるのだけど、明日からさっそく活用してみよう。

 「怒り」とは何か?、「怒り」はどうして発生するのか、「怒り」をコントロールするには、そして「怒り」の伝え方と、論理だった章立てで、スーッと体に染み込むように理解できる。

 一読して、私自身は、「べき」が強すぎるのだということが良くわかった。本書では、そのコントロールの一つの方法として、「べき」の三重丸を作って①自分と同じ「べき」(=許容範囲)、②自分とは少し違うが「許容範囲」、③許容できない「ゾーン」を考え、③については相手に伝える努力をするということを紹介している。文字で書くとなんか当たり前のようだが、マンガで具体例を示されると、腹落ちする。

 最終章の「感情的になることと感情を伝えることは違う」という指摘もなるほどだ。何について怒りを感じ、どうしてほしかったのかを、私を主語にして伝える。相手を打ち負かそうとせず、わかってもらうことをゴールにする。など、一方的な見方で、独りよがりな「怒り」を溜め込んで、感情的に不機嫌になっている自分が恥ずかしくなる。

 さあ、あとは実践あるのみ。

 《目次》
●プロローグ アンガーマネジメントとは
Story0 5億円と3人のメンバーを預けられて
●Part1 怒りが生まれるメカニズム
Story1 目指すは下町のヒーロー
●Part2 心の器を大きくして怒りをコントロールする
Story2 三重丸を少しだけ重ねてみたら…
●Part3 怒りを上手に伝える
Story3 お客様が集まらない!
エピローグ しおり、下町のヒーローになる!

《メモ》
・「怒り」は相手にこうあってほしい、こうあるはずという、自分自身の願望、理想が裏切られたとき、その通りにならなかった時に生まれる →「怒り」は二次感情
・あたりまえの「べき」に注意

・即効性ある7つのテクニック→怒りのピークは長くて6秒
 ○スケールテクニック(怒りを感じたら数値化)
 ○カウントバック(怒りを感じたら数を数える)
 ○コーピングマントラ(心が落ち着く言葉を自分に言い聞かせる)
 ○ストップシンキング(頭の中を真っ白にして、思考停止してリセット)
 ○タイムアウト(その場をいったん離れ、感情をリセット)
 ○グラウンディング(今、ここに意識を集中させる取り組み)
 ○呼吸リラクゼーション(ゆっくり腹式呼吸)

・中長期的取り組み(21日で体質改善)
 ○アンガーログ(怒りの記録)
 ○べきログ(アンガーの出どころは何か分析)
 ○ハッピーログ(ハッピーの記録)
 ○ミラクルデイ・エキササイズ(解決すべきすべての問題が解決した奇跡の日をイメージ:方法論あり)
 ○ブレイクパターン(いつも無意識に繰り返している行動パターン、話し方をあえて壊して悪循環を断ち切る)

・気をつけたいものの言い方
 ×大げさな表現を使う
 ×主観で決めつける
 ×「なぜ?」相手を攻め続ける
 ×人格否定する

・上手な叱り方
 期限を守らなかった場合、何が起こるか・・・?
 ○何について叱っているのか論点がぶれないようにする
 ○「どのように」すればよいか。具体的な表現で伝える
 ○「なぜ」という理由・目的を理解できるように伝える
 ○相手を信じて向き合う

・こんな𠮟り方はNG
 ×アドバイスという名目の説教
 ×威圧的に恐怖で動かそうとする
 ×相手のためではなく、自分の保身のために叱る
 ×過去を引っ張り出す
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素晴らしいシーズンの締め パーヴォ・ヤルヴィ/N響Cプロ/ シューベルト 交響曲 第8番 「ザ・グレート」他

2017-07-03 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 N響今シーズン最後の定期演奏会です。雨こそ降ってないけど、水分が滴り落ちるような空気を掻き分けるように、NHKホールへ。私が到着時点でD,E席は既に完売でした。

 シーズン締めくくりに相応しい大熱演でした。パーヴォさんの「ザ・グレート」はメリハリ効いて、造形が明確。N響も弦管のバランス抜群の秀演です。第4楽章は弦の重層的なアンサンブルに鳥肌が立ちました。この曲、それほど多くの生演奏に接したことがあるわけではありませんが、「こんな音楽だったんだ」だと気がつかされることが幾度も。

 前半は、シューマンプログラム。ただ、週中の疲れによる体調不調で、情けないことに集中力不足。「ゲノヴェーヴァ」はこれからの物語を暗示するスケール感豊かな音楽でしたが、自分自身はぼーっとしてました。

 2曲目のチェロ協奏曲はターニャ・テツラフの独奏。彼女の演奏は、以前マーラー・チェンバー・オーケストラとの共演を聴きましたが、今日も滑らかで優しい音色。会場を暖かい空気で包み込む演奏で、私も別の世界に入り込んでしまい撃沈。

 パーヴォさんとN響、来季も大いに期待です!


第1863回 定期公演 Cプログラム
2017年7月1日(土) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール

シューマン/歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲
シューマン/チェロ協奏曲 イ短調 作品129  
シューベルト/交響曲 第8番 ハ長調 D.944「ザ・グレート」
 
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
チェロ:ターニャ・テツラフ

No.1863 Subscription (Program C)
Saturday, July 1, 2017  3:00p.m.  (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall  

Schumann / “Genoveva”, opera op.81 - Overture
Schumann / Cello Concerto a minor op.129
Schubert / Symphony No.8 C major D.944 “Die Große”

Paavo Järvi, conductor
Tanja Tetzlaff, cello
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

清水潔 『「南京事件」を調査せよ』 (文芸春秋、2016)

2017-06-29 07:30:00 | 


 調査報道で実績を積み上げている筆者が、兵士の日記やスケッチなどの「1次資料」を使って、南京事件を題材に切り込む。本書は、その調査のプロセス、結果、考察の記録である。

 筆者のフェアなスタンスや真摯な努力は理解できるし共感するが、数か月の調査でこの歴史的事件について真相を明らかにするというのは、なかなか困難な仕事だ。より幅広い史料の検証や読み込みが必要だと思うので、歴史好きにはやや欲求不満が残る。

 一方で、筆者ならではの強い思いを感じる一冊ではある。筆者は当時の報道管制が引かれた報道の姿と、はた目からは見えない「上からの」圧力で委縮するジャーナリズムを重ね合わせる。「真実を伝えるべきジャーナリズム」の今のありように、筆者の危機感が滲み出ている。

 事件の被害者の規模は別として、事件が捏造とする修正主義の方々に対する批判も適格だ。「私ども日本人としてのね、浮かばれないというか、国益が明らかに害されたまま、国民がですよ、国際社会の中で顔向けできないようになっているのではないかな、と思ってます」(p261)と自民党原田氏が発言したらしいが、国民が国際社会の中で顔向けできないようになっているのは、南京事件のせいではなくて、南京事件をねつ造だというようような政治家の先生が日本にはまだたくさんいるからだということが、彼らはわかってない。


目次
第1章 悪魔の証明
第2章 陣中日記
第3章 揚子江の惨劇
第4章 兵士たちの遺言
第5章 旅順へ
終章 長い旅の終着
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

パーヴォさんのフランス・プラグラム/N響6月定期Aプロ

2017-06-26 07:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 2月以来のパーヴォさんの登壇。前回から4ヶ月しか経ってないんですが、随分久しぶりの感じがしました。今日は、デュティユー、サン・サーンス、ラヴェルというフランス・プログラム。これまで、パーヴォさんではロシアもの、ドイツ・オーストリアものを中心に聴いてきましたが、レパートリーの広さに驚かされます。

 デュティユー〈メタボール〉に続いては、河村尚子さんのサン・サーンスピアノ協奏曲2番。河村さんは4年前にラザレフ、日フィルとの共演でラフマニノフ〈パガニーニの主題による狂詩曲〉を聴いていますが、(失礼ながら)あまり記憶に残ってません。今日の河村さんは、緑の艶やかなドレスに身を包み、自信ある笑顔で現れました。

 演奏は力強さと繊細を併せ持った印象的なものでした。私はこの曲を初めて聴いたので、演奏についてコメントする資格はないのですが、キレがあって、華やかな演奏は、梅雨の湿っぽさを吹き飛ばしてくれました。

 後半、ラヴェルの〈優雅で感傷的なワルツ〉はまさに題名通りの曲。ワルツの軽やかなリズムに乗ったオーケストラのアンサンブルが耳に心地良いです。ラストで音が消えても(消えたように聴こえた後も)パーヴォさんの腕がなかなか降りず、長くホールが静寂に包まれました。

 ラストの「ダフニスとクロエ」組曲第2番は、N響の優れた合奏力が遺憾なく発揮された秀演。合唱版でなかったのは残念だったけど、この曲はいつ聴いても良いですね。色彩感豊かで、聴き応え満点でした。

 来週はシューマン、シューベルトとドイツ・オーストリア系プログラム。こちらも楽しみです。


《河村さんのアンコール曲》

第1862回 定期公演 Aプログラム
2017年6月25日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

デュティユー/メタボール(1964)
サン・サーンス/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22
ラヴェル/優雅で感傷的なワルツ
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第2番

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:河村尚子

No.1862 Subscription (Program A)

Sunday, June 25, 2017 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Dutilleux / Métaboles (1964)
Saint-Saëns / Piano Concerto No.2 g minor op.22
Ravel / Valses nobles et sentimentales
Ravel / “Daphnis et Chloé”, suite No.2

Paavo Järvi, conductor
Hisako Kawamura, piano
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

調布国際音楽祭はルピコン川を渡ったのか?

2017-06-22 07:40:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 今年で5回目となる調布の音楽祭。日曜日に盛況のうちに終わりました。エクゼクティブ・プロデューサー(随分、大げさなタイトルですが)である鈴木優人氏のユニークな企画(「フェスティバルオーケストラ」の創設や有料公演のテーマ設定(「深大寺・チェンバロリサイタル」や「ツイマ—マンのコーヒーハウス」など)に加え、アットホームな雰囲気、そしてバッハ・コレギウム・ジャパンなど世界レベルの演奏が楽しめることもあって、都合で行けなかった第2回を除いては、毎回お邪魔してます。今年は、いよいよネーミングに「国際」をつけて改名し、新しいロゴマークも発表し、未来への一歩を踏み出す決意を示しています。

 年々、プログラムも充実しています。また、プログラムとは関係ないですが、今年はオープンステージがある文化施設「たづくり」にスターバックスが無料のコーヒーサービスを提供してくれたのが、来訪者にとっては「超」がつくほど嬉しかった。私自身はこの音楽祭の大きな魅力の一つが、市民音楽家や地元の桐朋の音大生らによる無料コンサートなのですが、スターバックスのコーヒーをすすりながら、リラックスした雰囲気で生演奏を楽しむって、これぞ音楽の楽しみという体験をさせてもらいました。



 来年以降、調布「国際」音楽祭がどういう展開をするのか楽しみです。まさに分岐点に立っていると思いました。自治体主催の音楽祭である以上、税金の使い方として適正であるべきでしょう。また、なによりも、この音楽祭の生来の良さは、市民・学生参加型の音楽の近さとBCJのような世界レベルのプロの演奏家のプログラムとの絶妙なバランスにあると思うのですが、このバランスがどうこれから変化していくのか?「国際」と名を打ったのは、予算も増やして、どんどんプロの演奏会を増やして、日本有数の音楽祭にしていくという成長ビジョンなのか?そうだとすると、今のメインホールであるグリーンホールは国際音楽祭の本拠地としては寂しい施設です。



 私個人の思いとしては、「国際」などつけなくても良いから、今のこのローカルなスタイルを継承して欲しい。もし、真の国際音楽祭にするなら、近隣の狛江・府中・三鷹・武蔵野・多摩あたりとタッグを組んで、多摩国際音楽祭にして、大々的にプロモーションをかけてはどうかと思います。中途半端な成長戦略は、この音楽祭の生来の良さを失うことになりはしないか危惧します。来年以降、調布国際音楽祭がどう変わっていくのか?主催者は、ルピコン川を渡ってローマを目指すのか?応援したい音楽祭だけに、今後に目が離せません。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加