Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

MUSIC TOMORROW 2015

2015年06月24日 | 音楽
 今年のMUSIC TOMORROWは藤倉大が2曲とジョン・アダムズが1曲。今注目の藤倉大の作品やいかに――と興味を惹かれる演奏会だ。オーケストラはN響。指揮はフランスの指揮者、パスカル・ロフェ。ロフェは以前にもMUSIC TOMORROWに出演している。現在はフランス国立ロワーヌ管弦楽団の音楽監督を務めている。

 1曲目はジョン・アダムズのサクソフォン協奏曲(2013)。ジョン・アダムズの今を窺い知ることができるのではないかと期待した。サクソフォン独奏は須川展也。約29分間の演奏時間の間、ほとんど休みなく吹き続ける。名手、須川なので、気持ちよく吹けたことだろう。

 でも、わたしはこの曲の面白さがよく分からなかった。白石美雪氏のプログラムノーツによれば、「あちこちでチャーリー・パーカーのメロディやスタン・ゲッツ、エリック・ドルフィーらの演奏スタイルが姿をみせる」そうだが、ジャズの素養がないので、そういわれてもピンとこなかった。

 たしかに「これぞアメリカ」という「音調」(同氏のプログラムノーツより)に満ちているのだが、だからどうなの、という思いも残った。

 ジョン・アダムズは、オペラ「中国のニクソン」や9.11同時多発テロの犠牲者を悼む「魂の転生」など、代表作はもちろん、初期の頃からそれなりに聴いてきたつもりだが、こんな経験は初めてだ。

 2曲目は藤倉大の「インフィニット・ストリングス」(2014)。N響、ニューヨーク・フィルなどの委嘱作。弦楽合奏で演奏される。激しい勢いのトレモロから始まって、約15分の演奏時間の間、弦が唸りをあげながら動き回る。途中、ヴィオラにメロディのようなものが現れ、チェロに受け継がれ、合奏全体に広がった――ように聴こえたが。

 曲にも、演奏にも、1曲目よりも遥かに‘やる気’が感じられた。約15分という演奏時間があっという間に過ぎた。

 3曲目は「Rare Gravity」(2013)。スイス・ロマンド管の委嘱作で、指揮者の山田和樹に献呈されている。約16分のフル編成(基本的に3管編成)の管弦楽曲。色彩の移ろいが感じられる。最後は意外にも激しさを加え、熱狂のうちに終わる。2曲目も同様だが、やりたいことをやってのける‘骨っぽさ’を感じさせる曲。パスカル・ロフェ指揮のN響の演奏も‘全身没入’の気迫みなぎるものだった。
(2015.6.23.東京オペラシティ)

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