Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ワイマールの旅

2009年05月28日 | 身辺雑記
 前回のブログで茂木健一郎さんの「音楽の捧げもの」について書きましたが、実は私もワイマールに行ったことがあって、あの本を読んでいる間中、そのときのことを思い出していました。

 ワイマールに着いて、駅から外に出たときの第一印象は、きれいなところだな、というものでした。まっすぐに一本の道が伸びていて、その道がきれいに整えられています。緑が豊か――。その道をたどって街の中心部に行きましたが、どこをみても、ごみごみした感じがしません。歴史のある街なので、学校の社会見学(?)らしき高校生も多く、ここはドイツでも特別な街なのかもしれないと思いました。

 まずは、土地勘をつけるために、ざっと市内を歩き、夜は国民劇場へ。ゲーテの「ファウスト」第一部をやっていて、実はこれをみるのがワイマール訪問の目的でした。ファウストは、中年のさえない学者風の男で、おどおどした物腰。一方、メフィストフェレスは若々しい青年で、敏捷な動作によってファウストを翻弄します。ほとんど何もない舞台で演じられるその芝居に、私はひきこまれました。
 終演後、外に出ると、夜空には満天の星。冷たい風にあたりながら、これは結局、悪魔と闘った男の話なのだと思ったら、熱いものがこみ上げてきました。

 2日目は列車で一時間ほどのアイゼナッハを訪問。ワルトブルク城やバッハ・ハウスなど、見学した場所が茂木さんと同じなので、先日は読んでいて笑ってしまいました。
 その日の夜は何もなし。

 3日目はワイマール市内のゲーテの家やリストの家などを見学し、夜は国民劇場でドレスデンのシュターツカペレ(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)の演奏会をききました。指揮はときどき日本にも来るルーマニアの指揮者のイオン・マリンで、曲目はリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」とブラームスの交響曲第2番。シュトラウスのときもそうでしたが、とくにブラームスではバリバリ鳴らすだけの演奏で、辟易しました。終演後は客席から大ブーイングが出て、痛快でした!

 あの旅行はいつのことだったろうと、当時のメモを引っ張り出してみたら、2002年5月の連休中でした。メモには、2日目の夜について、こんなことが書かれていました。

 「今日の夜は何も予定がないので、部屋でゆっくり過ごしている。きれいな夕方だ。鳥の声がずっときこえている。静けさが部屋をみたす。ゲーテだったら詩にしただろうか。」

 もう、冷や汗ものです(笑い)。

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