元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

労働の流動化としての「非正規労働者」とは?

2015-05-24 17:49:02 | 社会保険労務士
 非正規労働には、法的な定義はないが・・・

 前回は労働の流動化の過程において、「非正規労働(者)」の概念が生まれたのではないかと言ったが、そもそも、パートタイム労働法の「短時間労働者」や労働者派遣法の「派遣労働者」の法律上の定義はあっても、「非正規労働者」の定義は法律的にはどこにもない。正規労働者に対立する概念として、非正規労働者たる概念があるといえる。正規の労働者ではないという意味で非正規ということばが使われるのであろう。その意味では、石嵜信憲弁護士が言うように、区別して呼称すること自体が問題であり、「非正規労働者(社員)」という呼称を廃止すべきではないかといわれているが、「正規ではないという」意味で他に定義づける適当なことばがない以上、今は非正規労働者と呼ばせていただきます。

 そこで、正規の労働者とはなにかという定義を行い、その定義には入らないのを、非正規労働者と呼ぶことになる。

 先の石嵜弁護士は、次のように正社員(正規労働者)を次の特徴を有する労働(者)としている。
 1、正社員の呼称で雇用される。
 2、基幹的・恒常的業務がある企業に直接雇用された者である。
 3、契約期間の定めがない
 4、フルタイム労働する
 5、一定の待遇保障と継続的教育研修を受ける
  
  ここで特徴としてあげた1については、非常に重要な項目であって、非正規については、会社側は、正社員と呼ばないことから、それだけで正社員と区別しているところであり、どこかにで特に賃金面等で差を設けているのであろう。会社側も、雇われる労働者間も何らかの区分を設けているから、正社員とは呼ばないのであろう。
 また、3については、従来からの終身雇用制度から来ているところものであって、ここも正規労働者の重要なポイントであろう。
 
 1~5の要素が一つでも該当しなければ、「非正規労働者」ということになる。
 
 ・パートタイマーは、4、に基本的には該当しない。
 ・有期労働契約者は、3、に該当しない。
 ・派遣労働者や構内下請けは、1、の正社員と呼ばれていても、2に該当せず、直接に雇用されたものではない。
 ・2、3、4、に該当してても、5の点で同じ待遇等を受けない、正社員以外の者がいる。例えば、3、において、期間の定めがなく、4、においてフルタイム働きながら、パートタイマーと呼ばれる者もいると、石嵜弁護士は指摘している。


⇒前回 <非正規労働者が30%後半になったが、収穫逓減の法則の結果か、その雇用形態・呼称(呼び名)も多種多様> 

 <参考・引用>正社員の特徴1~5は、非正規社員の法律実務(中央経済社)石嵜信憲編著から引用、ほか参考文献として。
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