平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

アイスパワー

2010-03-09 00:22:33 | Weblog
 世間にはアイスパワーというものがあり、フィギュアスケートかと思ったら、スペルがICEpowerという歴(れっき)としたブランドです。しかしその正体は、デンマークのバング&オルフセン(Bang & Olufsen )社の子会社ICEpower社のデジタルアンプです。通常のアナログアンプのように熱くならないのでアイスなんですね。なるほど。

 デジタルアンプは極めて効率が良く、アナログアンプに付き物のヒートシンクや巨大トランスやコンデンサーを必要としません。音の特徴は、見通しがよくスッキリして、雑音もなくパワーもあります。良いこと尽くめのようですが、繊細さやニュアンスといった、微妙な表現力ではどうでしょうかね。僕はデジタルアンプの高級品は聴いたことがないので、評価は保留ですね。

 ICEpowerというのは、ICEpower社の販売するデジタルアンプのユニットなのですが、心臓部のデバイスは日本のサンヨーが供給しています。回路設計とアセンブルがICEpower社なのです。親会社のバング&オルフセンは昔から高級オーディオで知られ、アナログプレーヤーの頃は、日本でもデザインに惚れ込んで使っている人がいました。

 海外製品はブランドが命で、中身を見るとガッカリします。日本だと三万円のローコスト製品が、海外からの輸入品だと15万円の高級オーディオに化けてしまうのです。この内外格差がもっとも甚だしかったのは、パイオニア製のPioneer DV-600という、13000円のローコストDVDプレーヤーです。これが、スイスの高級ブランドであるゴルドムントの手にかかれば、140万円のGOLDMUND Eidos 20に化けるのです。実に、100倍以上の値段の製品です。これを、オーディオの雑誌はべた褒めして推薦していたらしいですね→掲示板

 日本人の海外コンプレックスを逆手に取ったゴルドムントの商魂は逞しいですが、有り難がって買う方は馬鹿みたいですね。こういう馬鹿なオーディオマニアがいたからこそ、コツコツと良い製品を作っていたパイオニアが倒産寸前に追い込まれたのです。最初からパイオニアの高級品を買ってあげていれば、パイオニアがオーディオを縮小することもなかったのです。

 バング&オルフセンはアイスパワーを高級品に限定したいようですが、むしろローコスト製品向きの内容ではないかと思います。又しても、世界中で騙されるオーディオマニアが増えるのでしょうか。死にかけのサンヨーにしてみれば、デバイス供給は渡りに船ですけど。

 オーディオの神様と呼ばれた故長岡鉄男氏は、効率の悪いAクラスアンプを天才にたとえました。コストと電力を無駄(エネルギーの大半は熱)使いし、自らの出す熱のために、命(製品寿命)を縮めてエレガントな音を出すアンプ。アイスパワーはクールな秀才かもしれませんが、効率の悪い天才にかなわない部分があるのです。

 ロシアは伝統的に、非効率の天才が育つ土壌を有しています。世にも希な5拍子のワルツ(『悲愴』第二楽章)の優雅さ。非効率のストーブにあたっていると、チャイコフスキーの交響曲を大音量で聴きたくなりますね。これからは意外に非効率の時代かもしれません。

      エフライム工房 平御幸
コメント (3)
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