仁淀川日記
土佐を流れる清流・仁淀川や、高知の自然、身の回りのできごと、日常の風景を写真で紹介




キャンベラでオーストラリア戦争記念館を見てきました。宿泊したホテルから歩いて10分くらいのところにあり、キャンベラに着いた日に行ってきました。


キャンベラではほとんどの施設(国立、公立)が入場無料です。この日(6月12日)は「クイーンズバースデイ」という祝日で、多くの人で賑わっていました。
歩道を歩いていくと、快晴の空が眩しく、木々の紅葉も未だ残っており、なんとも清々しい気持ちになります。




そんな気持ちで館内に入りましたが、順路に沿って展示を見ていくうちに、改めて戦争という事実に直面しました。ご存じのようにオーストラリアは軍隊を持っており、イギリスと深い関係があります。このため、イギリスが参戦した全ての戦争にオーストラリアも参加しています。




展示は広範囲に渡っていますが、主として第二次世界大戦の資料が豊富にあります。その中には日本やイタリア、ドイツの資料も分け隔て無く展示されています。
見学している人はご地元の方や欧米人が多いように思いましたが、日本の資料(大日本帝国軍)の前に立つと、やはり日本人であることを意識してしまう自分がいました。




歴史的な資料とともに大きなスペースを取っているのが、航空機やタンク(戦車)、特殊潜行艇、軍用車両などの実物展示です。日本の”零戦”や、シドニー湾に侵攻した特殊潜行艇も展示されていて、驚きました。


日本では戦時中、勲章をもらった人を英雄視したことがあったと思うのですが、戦後は軍隊の放棄と言うことから表から消えてしまいました。しかし、ここオーストラリアでは戦功のあった、勲章をもらった英雄が沢山、掲示されています。いまでもイラクなどに派兵されていることを思えば、国のため(?)、世界の平和のために戦っている兵士を称えるのは当然かも知れません。




圧倒されるほどの資料や展示を見て最後のコーナーにはいると、そこは終戦(第二次世界大戦)を喜び、平和を喜ぶ人たちの展示スペースでした。写真や絵画などで終戦を喜ぶ人たちの模様が描かれており、日本の国旗にも英語で終戦の喜びや、捕虜になったものの、温かく接してくれたことへの感謝の言葉が書かれたりしています。
ここに来てこれらを見ているうちに、私の身体の中に熱いものがこみ上げてきました。誰もが戦争には反対するのですが、その恐ろしさを知らないまま過ごしてきたのに、戦争が終わったことにたいしての喜びの表現は絶対的に理解できたのでした。




キャンベラではいくつかの施設を回りましたが、どこにも次の世代を担う子どもたちがいました。そしてその横には両親がおり、祖父母がおり、また、引率の先生がいました。オーストラリアの歴史、そして悲惨な戦争と平和を具体的に教えていく、これが一番の教育ではないだろうかと思いました。
海外にはすばらしい美術館が多くあり、それを見ることを目的とする人もいます。でも、今回の旅行でこの戦争記念館を見ることができたことは、私にとっては美術品を見るよりもっと有意義な時間となりました。



コメント ( 4 ) | Trackback ( )



« ハゼラン アゼムシロ »
 
コメント
 
 
 
真青な空 (たこ)
2006-07-01 22:39:47
aigenさん

オーストラリアの戦争記念館のレポートを有難うございます。



空の色がさわやかです。

86を胸につけた坊やはaigenさんのカメラのレンズを覗いています。ちょっと眩しそうで、緑の帽子が白い肌に映えています。写真を大きくしたら後ろに家族の人が写っていました。どの国の子供も広場では走りたくなるのですね。好きな写真が又1枚増えました。



 
 
 
 (aigen)
2006-07-02 22:06:39
>たこさん

この子どもの写真はとっさに撮りましたので、ちょっとタイミングがずれてしまいました。ずっと向こうのほうでお母さんが「ダニエル!待ちなさい」と叫んでいました。でも子どもはなにか、行きたいところがあったようで駆け抜けていきました。

オーストラリアは日本と季節が逆になり、そろそろ真冬になります。このため、内陸部であるキャンベラは快晴の空が広がり、北に傾いているもののお日さまも強烈でした。
 
 
 
外国から見た日本 (isshy)
2006-07-02 23:18:35
aigen さん

いい旅されたのですね。諸外国の立場で(または、そういう感覚ではなく、中立で)表現されている、博物館や資料館はあらためて、日本人だということを思い知らされますね。

私にもそういう経験があります。

久しぶりに、また海外旅行がしたくなりました。
 
 
 
日本人 (aigen)
2006-07-05 00:01:22
>issyiさん

零戦や特殊潜行艇、日本軍の資料の前などでは何故か、それらを見ている”私”が見られているような気がしました。しかしそれはあくまで、私の勝手な思いこみで、誰も特別な眼で見るようなことはありませんでした。

内容的にはきついところもありましたが、久し振りに外国を満喫しましたよ。
 
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