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私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

姫路城がかわいいお饅頭になった

2015年01月22日 | 各地の旨いもん

~これは五層六階のあの白亜の大天守を持つ国宝姫路城をかたどったお饅頭~

姫路城は1993年に法隆寺とともに、日本で初の世界文化遺産に指定された日本が誇る第一級のお城である。
その堂々たるお城がぐっとミニサイズのかわいいお饅頭になった。
いつこのお饅頭が出来たのかは知らないが、私はつい先日、初めて和菓子屋で発見したのである。
デフォルメされていても特徴がよく捉えられていて、ひと目で姫路城とわかる。
手のひらに入れて愛玩したくなるような可愛らしさだ。

それで、お茶のお菓子に使ったら楽しいだろうと思い買ってみた。
東京で云えば「人形焼き」、広島で云えば「もみじ饅頭」、それらと同じようなカステラ饅頭と言われるもので、
お味は、きめ細かなカステラの中に、程よい甘さの滑らかなこしあんが入っていて、とても上品な味だった。
と言うわけで早速お稽古のお菓子として使うことに、、




お饅頭と言えど国宝姫路城、世界文化遺産でもある。
だからそんじょそこらの器では申し訳ない。
そう思って出したのがこの器。

この器はバリ島のお土産で、アメリカ人の青年から頂いたものだ。
5、6年も前になるが、彼は高校の英語教師として来日していた。
繊細な心を持っていて、日本人より日本人らしい人だった。

茶道に興味を持っていて「お茶の稽古がしたい」と希望して、生徒に交じって茶道部の一員となった。
そして彼は、三年間の滞在中にみるみる腕を上げ、基本的な薄茶点前と立礼のお点前をマスターして
本国に帰っていった。

その間、彼は学校の休みを利用してよく東南アジアに遊びに行っていた。
最後の、三年目の夏休みにこの器を見つけて買って来てくれたのであった。
塗物で表側が黒、内側には金が蒔かれ"金のボウル"という感じで、球体を半分に切ったような形状。
この、今までに見たこともない異質な文化の香りがする器に、彼がアメリカ人であって日本人のような
繊細さもある中でも、日本人にはない感性があるのだと気付かされたのである。

そのことをはっと思い出して、お饅頭(お城の形をしたものはお城焼きというらしい)を入れてみると
やあ!そのよく似合うこと!
金屏風を背に、お饅頭の姫路城はちっとも負けていなかったのである。