江別創造舎

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石版印刷

2008年09月23日 | 歴史・文化
 石版印刷は、1796年ドイツのゼネフェルダー(Alois Senefelder)によって発明された印刷方法です。
200年以上も前に発明されたこの石版印刷方式(リトグラフィ)は、その後金属版が使用され、現在の印刷方式の中心となっているオフセット印刷方式に発展していきました。

 ゼネフェルダーは、1771年に生まれ、ミュンヘンで初等中学の教育を受け、さらにインゴルスタット大学で法律を学びました。その傍らで、劇文学に興味を示し、戯曲小説などを作って楽しんでいたようです。
 自作の小説を印刷して販売しようと試みたゼネフェルダーは、より簡単にできる印刷方法がないかと考慮しました。
当時は、活版や彫刻凹版が利用されていましたが、絵や文字が混在していると相当困難な作業が要求され、精度という点では難しいものがありました。
 
 この方式の発明のきっかけは、偶然の必然で生まれました。
家族で洗濯屋を営んでいたゼネフェルダーは、ある時母親から洗濯物の控え書を書くように言われました。ゼネフェルダーは、それを紙に書かず、作業台の大理石の上に自分が研究中であった黒インクで書きました。数日後、控え書が不要になったから石上からこれを消そうとして、薄い硫酸中にアラビアゴムを混ぜた液を含んだ海綿でなでたところ、文字はそのまま残り、他の部分は腐食され、石上に一種の凸版の版面ができたのです。
この印刷方法は、楽譜の印刷などに利用されたようです。

 ゼネフェルダーは、改良のためのさまざまな実験を行い、石版石には特殊な性質があることを発見しました。
版面が多孔性で脂肪性のものとなじみ易く、インクで文字や絵柄を書いた後にアラビアゴムで表面を処理すると、インクの無い部分は親水性の状態になり、画線部と非画線部が安定した状態になることに辿り着きました。
(1)石版の上に脂肪性のインクで逆像の文字や絵を手書きします。
(2)石版上の酸性のアラビアゴム液を塗り、乾燥させた後、インクとアラビアゴムを洗い流します。
(3)石版上に水分を与え、その上に脂肪性インクを付けたローラーを転がすと、画線部だけにインクが付き、紙を圧着すると絵柄部分のインクが紙に転移します。

 手書きは、精度の点で不十分であり、後に写真を利用した製版に発展し、精緻な印刷物を作ることが可能となりました。
石版石の成分は、炭酸石灰(97.22%)、無水珪(1.9%)、アルミナ(0.28%)、酸化鉄(0.46%)などであり、ドイツのゾルンフォーヘンで産出されたものが良品とされていたようです。
(参考)
当ブログ7月16日(水)「川守田順吉氏ご講演大盛況!のご報告」
当ブログ5月26日(月)「北海道立図書館企画展ー写真技術の歴史と北海道開拓の記録ー開催中!」

註:鎌田弥寿冶著 「写真製版術」(1956年)・「写真製版技術小史」(共立出版1971年)参照。
写真:石版印刷機械
   北海道開拓記念館にて2007年許可を得て、撮影掲載いたしております。

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