コタツ評論

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ミミズオケラアメンボだって

2013-10-21 05:11:00 | ノンジャンル
3.11大震災の各地の避難所で、ラジオから聴こえてきた「アンパンマンマーチ」に、子どもたちが合唱したという佳話があった。

故・やなせ氏に無報酬で仕事依頼していた自治体も……吉田戦車が痛烈批判 「恥じろ」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131018-00000018-rbb-ent

「無料で描いてくれるそうだ」と聞きつけて、「公共の目的ですから」と頼んだんだろうな。担当者だけでなく、市長町長をはじめ、企画を閲覧した何十人もの職員が、延べ数千人の役人の誰一人も、「無料奉仕」に疑問を抱かなかったわけだ。

クールジャパンがじつはクールではないのは、とてもカッコワルイ人たちが集まっているからなんだろうね。役人たちも、「子育て」というボランティア経験があるはずなのに、「愛」と「敬意」が欠片もないよなあ。

吉田戦車が読んで憤慨したという対談がこれ。

箱入りじいさんの94年
http://www.1101.com/yanase_takashi/2013-08-09.html

やなせ これも、考えてみると、
自分がそれを望んだわけだから、
いいんじゃないかっていうことなんだけど、
いまだに続いててね。
ぼくはいま、全国で御当地キャラクターをつくる
仕事をやっていて、高知県だけで
もう50を超えてるんですよ。
全国のものを入れると
200ぐらいあるんだよね。
これが、全部、タダ。あっはっは。
ただね、2つぐらいはお金をくれたんだよね


糸井 どういう2つなんですか。

やなせ 役人が4人来たんですよ。
キャラクターを、やなせさん、作って下さいと。
「ああ、キャラクター作るんですか。はい、わかりました」
「ところで、予算がないので、原稿料はタダです」
「えっ、タダですか。私もね、これは仕事でやってるんで、
 いくらかはもらわないと」
って言ったらですね、4人で相談してるの。


糸井 あらら。

やなせ 「相談した結果、みんなで相談して、いくらあげます」。
それじゃしょうがねえと思ったんだけど、
やったんです。
それでキャラクターが好評だからって、
着ぐるみつくる予算は出るのにね。
そういうのはパッと払うのに、
俺はタダって言われるのは何でなんだ、
よくわからない。


糸井 何でなんでしょうかね。

やなせ でも、俺は巨匠にならないと決めたんだから、
これでいいのかなと思って。


この対談ではじめて、やなせたかしが『詩とメルヘン』の編集長だったことや「手のひらを太陽に」の作詞者だったのを知った。『詩とメルヘン』はときどき立ち読みしていたし、「手のひらを太陽に」は、学生時代の持ち歌だった。

ひじょうに右翼的だった左翼の先輩たちが宴会で歌う「昭和維新の歌」や「蒙古放浪歌」に対抗して、俺は「手のひらを太陽に」を歌った。「幼児絵描き」のやなせたかしとは接点がないと思い込んでいたが、無縁ではなかったようだ、合掌。

手のひらを太陽に


(敬称略)
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