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ライフスタイルとは何か

2008-09-13 23:58:09 | ブックオフ本
ライフルタイルを日本語でいうと生活様式というらしいが、これだけでは何のことかよくわからない。

『階級 [平等社会]アメリカのタブー』(ポール・ファッセル 光文社文庫)

著者によると、アメリカには9つの階級があるそうだ。

最上流階級(ケタはずれで見えない)
上流階級
上層中流階級
中流階級
上層労働者階級
中層労働者階級
下層労働者階級
貧困階級
最下層階級(ケタはずれで見えない)

で、「見える」階級のうち、それぞれの衣食住言葉容姿が見えるのがライフスタイルということらしい。俺たちは衣食住に関わる商品の好みや趣味や傾向をライフスタイルといい、自分のセンスで選び取るものと思っているが、アメリカ人にとっては、そこに言葉や容姿が含まれるだけに、生涯脱けることのできない階級(クラス)の檻がライフスタイルのようだ。

皇太子夫妻が狭い2LDKに住み、侘寂などむしろ貧乏を愛してきた伝統を持ち、オタクが一種の知的権威を持つような、黒柳徹子が「ご苦労なさったのね」と成り上がりに感心するほどの階層間移動しかない、「総中流意識」の日本人からすると、正直ピンとこない。

ピンとこないが、ファッション誌の何とかスタイルや何々ルックとか、何々流とか、なんたらテイスト、こだわりの何とかのネタ元は、この階級とそのライフスタイルなのだと納得できる。「総中流意識」を持つがゆえに、抑圧的な階級とライフスタイルも、「お洒落」のさじ加減にして楽しんでしまう日本人を軽薄というなら、けっこうユニークな軽薄文化ではないかと思えたものだ。

(敬称略)


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