コタツ評論

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日曜討論

2022-03-06 14:38:00 | 政治

シェルターの床で寝るキエフの子供たち

TV受像機がなくとも受信料を取ろうしているNHKをはじめ、「ウクライナはすぐに降伏してNATOはプーチンに譲歩せよ」、「日本はアメリカと核共有を」などと放言する橋下徹などの無責任なコメントでニュース番組をつくっている民放は、戦地ウクライナに記者を残していない。

60歳を越えた元モスクワ支局長の金平茂紀を「報道特集」のために派遣したTV朝日は少しはマシだが、CNNやBBCなど欧米のメディアは、イラク戦争時と同様に最前線に記者たちを送り、ロシア軍の銃弾に身を伏せながら取材を続けている。

嫌味として繰り返すが、NHKをはじめ民放各局は、彼ら欧米のジャーナリストたちが命がけで撮ってきた映像や情報を買って流しているに過ぎない。したがって、最新の生の情報に接する機会は我々には限られている。

そんな情報の空白を補うには格好なウクライナの日本語ポータルサイトができていた。

ウクライナのマルチメディア報道プラットフォーム
https://www.ukrinform.jp

プーチンのロシアが「興国」を果たした中国に比べて、「再興」どころか、経済的には衰退の一途を辿ってきた責任の一端は、西側にもあるのだという論考である(その結果、ロシアの国防予算は韓国並みに過ぎない)。

非専門の地理学者でも、これくらいバランスのとれた論説が書けるところが、いまだに欧米の知性や読者の理性を仰ぎ見るところだ。

そうか、欧米の新自由主義者たちの食い物になったのか。トヨタがロシアに初の工場新設を発表をしたとき、プーチンがいかにも嬉しそうに豊田章男社長と握手していた姿が思い出される。

ウクライナ侵攻に関する英国の地理学者デヴィッド・ハーヴェイの論説https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-03-02

キッシンジャー98歳にして、この冷徹な現状認識と展望には舌を巻く。「誰かの満足ではなく、バランスの取れた不満を目指せるかが重要」(これは外交に限らず民主制の基本でもある)。

8年前の提言だが、「ウクライナはロシアと欧州の橋渡し役になるべき」とは今後もさらに必要な視座だろう。東西どちら側に属しても、「ウクライナが争いの最前線であることに変わりはないからだ」。

併せて、91歳ゴルバチョフ氏の「早急な平和交渉を」というアピールも、メディアや研究者とは一味違う政治家ならでは有益な言説がある。



キッシンジャー “8年前の提言” 「ある原則」の欠如がウクライナでの対立を深めるだろうhttps://news.yahoo.co.jp/articles/7f30e1b12317627d7ac313ab902db954a7496eda

世界のいろいろな知性が勇気を奮って核戦争を止めようと人々の理性に訴えかけているときに、情けないことに日本では、理性と勇気を投げ捨てた知性のニュースを見かけた。個人的には、「金沢大学ってそゆところだよ」と驚かなかったが。

金沢大学が准教授に「不可解すぎる懲戒処分」…いま名門大で起きている「異常事態」の全容https://news.yahoo.co.jp/articles/f87f5ced8b35c39af89df2f789c2b0f9d30f9c2c

(止め)