コタツ評論

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今年度の霞ヶ関文学賞は検察へ

2012-06-30 00:57:00 | 政治
陸山会事件の石川知裕元秘書の証言をめぐる虚偽捜査報告書に関して、最高検は虚偽有印公文書作成罪は不起訴処分としながらも、担当の田代検事を懲戒処分、その上司だった佐久間元特捜部長らを戒告処分とした。この処分を受けて、田代検事はただちに辞職した。

新聞やTVは、石川知裕元秘書の5時間に及ぶ隠し録音テープになかった虚偽例として、申し合わせたように次の談話を引いていた。
「検事から、有権者から選ばれた国会議員なのに、ヤクザの手下が親分をかばうようだと言われたことが効いた」。もちろんこれは縮尺されたもので、原文は以下といわれている(更迭された小川元法相が太鼓判を押しているから、本物と判断してよいだろう)。

石川:(中略)検事から、「貴方は11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。そのほとんどは、貴方が小沢一郎の秘書だったという理由で投票したのではなく、石川知裕という候補者個人に期待して国政に送り出したはずですよ。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るために嘘をつくのと同じようなことをしていたら、貴方を支持した選挙民を裏切ることになりますよ。」って言われちゃったんですよね。これは結構効いたんですよ。それで堪えきれなくなって、小沢先生に報告しました、了承も得ました、定期貯金担保貸付もちゃんと説明して了承を得ましたって話したんですよね。

本職(田代検事):そうでしたね。

(ネットに流出した捜査報告書の4頁)


田代・斎藤・木村報告書(と思われるもの)
https://docs.google.com/file/d/0ByWdni-HzzdgV0RMV0o5WWNiTlk/view?sle=true&pli=1

この「虚偽捜査報告書」が検察審議会に提出され、「起訴相当」の議決につながったとしたら、検察審議会の一般市民にも、ここが「効いた」はずだ。もちろん、マスコミ記者や反小沢派議員たちにも「効いた」。それほど、迫真的で説得力に富む完璧な「セリフ」といえる。

「あなたは11万人が支持した選良なのか、それとも、ヤクザの親分をかばうただの手下なのか?」。「巨悪を眠らせない」検事に問われ、政治家を志したときの初心を思い出した元秘書。最近の霞が関文学の白眉は、野田首相の大飯原発再稼働演説だったが、「検察文学」もなかなか読ませる。

この捜査報告書に勇気づけられた検察審議会の市民たちが起訴相当を決め、「政界の巨悪」の裁判がはじまる。これが映画なら、BGMがいちだんと高鳴るところ。「スミス都へ行く」から、「十二人の怒れる男」への展開。正義感あふれる特捜検事によって正義感をとり戻す政治家。そして、健全な市民感覚に正義はゆだねられる。みごとなシナリオだ。

シナリオライターは誰なのか? 監督は? ハリウッドに外注したのではないかと、半分くらい本気で思う。最近の小沢夫人の「夫は放射能が怖くて逃げた」暴露手紙まで、まるでアメリカのリーガルサスペンス小説や映画のようだ。そうなると、プロデューサーはCIAしかいないが。

「捜査報告書は検事の記憶違いではない。ほぼ全部が架空なんです」「でも、あっという間にクビになっちゃった」長谷川幸洋
http://www.paradigm2020.jp/blogw/1339125911.html

虚偽捜査報告書問題について思うこと
http://uonome.jp/read/2567

(敬称略)


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