「飽きないでよくも続くね」と言われています。
いつも同じことを繰り返していると、一般的には飽きられます。腎病漢方治療も随分と長く、同一形式で本日に至りました。やがては「読者に飽きられるだろう」という危惧感を持っていますが、馬鹿の一つ覚えのように繰り返しの毎日です。私は一向に飽きません。一つ一つの症例が新鮮で、医師として考えさせられる要素が多く、従って、何処まで行けば終わりになるのか?確定する要素が、今のところ見当たりません。しかし、いずれ終わるのです。初めがあれば終わりがあるのは感覚として容認できる因果律です。
桃黄止血湯は(肉眼的)血尿治療方剤です。急性腎炎、IgA腎炎、紫斑病性腎炎などに応用可能な張琪氏の経験方です。
桃黄止血湯については既に慢性腎炎での弁治を以下の2報で紹介いたしました。
慢性腎炎 桃黄止血湯(とうおうしけつとう)加減治療 張琪氏漢方治療1(腎病漢方治療273報)1989年の症例
http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140221
慢性腎炎 桃黄止血湯(とうおうしけつとう)加減治療 張琪氏漢方治療2(腎病漢方治療274報)1973年の症例
http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140222
方意は泄熱逐瘀涼血止血です。今回紹介するのは1991年の症例ですので、張琪氏の桃黄止血湯は実に18年間に渡って進化したものです。
患者:?某 10歳 男児
初診年月日:1991年7月17日
病歴:
2ヶ月前尿色異常が出現、尿は混濁し色は赤、現地の病院で検査を受け、尿蛋白2+、尿RBC満視野/HP、急性糸球体腎炎と診断され、ペニシリン治療を半月余受け、尿中の赤血球RBCは15~20個/HPのこともあれば、満視野/HPのこともあり、血尿の改善が遅れていた。
初診時所見:
尿色黄赤、少腹満悶不快、大便秘結、手足心熱、舌質紅苔白少津、脈滑数。
中医弁証:下焦瘀熱阻滞之尿血
西医診断:急性糸球体腎炎
治法:瀉熱逐瘀、涼血止血法
方薬:桃黄止血湯加減
桃仁(活血化瘀 潤腸通便)15g 大黄(活血通腑泄濁 泄熱通便)5g 生地黄(養陰清熱)20g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 赤芍(清熱涼血、祛瘀止痛)15g 貫衆(=貫仲 清熱解毒 止血)20g 黄芩(清熱解毒利湿)10g 茜草(涼血化瘀止血)20g 生甘草(清熱)10g 地楡炭(地楡の効能は涼血止血、解毒収斂、地楡炭となると収斂止血が増強される)20g
水煎服用、毎日1剤、二回に分服
二診:1991年7月23日
上方服用6剤で、尿RBC10~15個/HP、尿蛋白+、尿色転淡、大便通暢、毎日1回、少腹満悶症状減軽、まだ手足心熱有り、舌質紅苔白、脈滑やや数。上方を継続服用6剤。
三診:1991年7月29日
尿RBC4~8個/HP、尿蛋白(-)、手足心熱を除き、明らかな症状無し。前方加味とする。
方薬:
桃仁15g 大黄5g 生地黄20g 牡丹皮15g 赤芍15g 貫衆20g 黄芩10g 茜草20g 生甘草10g 地楡炭20g 藕節(収斂止血)20g 側柏葉(涼血止血)15g
水煎服用、毎日1剤、二回に分服 &nbs
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