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慢性腎炎 桃黄止血湯(とうおうしけつとう)加減治療 張琪氏漢方治療1(腎病漢方治療273報)

2014-02-21 00:15:00 | 慢性腎炎 漢方治療

桃は桃仁の桃(とう)、黄は大黄の黄(おう)です。桃仁は活血化瘀 潤腸通便、大黄は多様な効能が有りますが、活血化瘀、泄熱通便です。「泄熱逐瘀」の治療概念ですね。実際の医案に進みましょう。

患者:王某49歳 男性

初診年月日198973

病歴

当該患者は19893月顔面浮腫で発病、尿蛋白3+、RBC満視野/HP、某病院にて、「慢性糸球体腎炎 急性悪化」と診断され、入院後治療にて病情好転し退院。五月ごろ上述症状が加重、ハルピン医科大学付属第一病院に入院、ジピリダモール、芦丁(ルチン)、丹参片等の治療を受けたが、症状の明らかな好転なし。

初診時所見

顔面眼瞼に軽度浮腫、腰酸痛、少腹悶張、尿黄赤、舌苔黄膩、脈弦細。尿蛋白+、RBC1015/HP、WBC3~5/HP

中医弁証:瘀熱が下焦に阻滞

西医診断:慢性糸球体腎炎、急性悪化

治法:瀉熱逐瘀。涼血活血

方薬:桃黄止血湯

桃仁5g 大黄5g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)15g 連翹清熱解毒、清癰散結)20g 貫衆(貫仲に同じ、清熱解毒 止血) 甘草15g 白茅根凉血止血、清熱利尿30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 藕節(収斂止血)20g 生地黄(養陰清熱)20

水煎服用 毎日2回に分服

経過

前方服用6剤で、前述した少腹悶張および尿黄赤が好転。継続服用10剤、尿RBC3~5個/HP、前述症状は軽くなった。但し、其の後で、患者は外感、咽痛、82日には尿RBCが再度増加し15~20/HP、尿黄。外感が治癒するのを待って、前方加減を堅持し服薬28剤、尿蛋白(-)、尿RBC1~3個/HP、自覚症状消失。半年後追跡調査で再発無し。

ドクター康仁の印象

桃仁5g 大黄5gの量は思ったより少ないですね。大黄は大便秘結の場合には氏は7.5g~10gを使用します。桃仁も20gを使用する場合もあります。おそらく製本の段階で、桃仁15gを5gと誤植したのではないかと思います。大黄も同じ7.5gを5gの誤植と思います。氏の過去の医案でも極めて少量過ぎるからです。

養陰剤は生地黄のみですが、陰虚の証は無いようですから、有熱の場合には生地黄を原則配伍するという意味でしょう。桃仁 大黄以外の生薬と其の量をもう一度振り返って見ましょう。勝手に桃仁15g 大黄7.5gにしてしまいます。

活血祛瘀作用のある生薬にアンダーラインを引きますと、

桃仁5g 大黄7.5g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)15g 連翹清熱解毒、清癰散結)20g 貫衆(清熱解毒 止血) 甘草15g 白茅根凉血止血、清熱利尿30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 藕節(収斂止血)20g 生地黄(養陰清熱)20

以上の3薬です。

涼血止血作用のある生薬にアンダーラインを引きますと、

桃仁5g 大黄5g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)15g 連翹清熱解毒、清癰散結)20g 貫衆(清熱解毒 止血) 甘草15g 白茅根凉血止血、清熱利尿30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 藕節(収斂止血)20g 生地黄(養陰清熱)20

以上の4薬になりますね。

血尿を離経の血、つまり瘀血と捉えれば、活血祛瘀剤が必要であることは以前に申し上げました。血熱が経脈を損傷して離経の血が生じるのですから清熱解毒涼血が必要になるのですね。

ある意味で「ピンポイント」的な治療ですね。温薬の配伍がまったくないのも特徴です。

灯台(桃仁大黄)止血湯:

灯台赤く 白茅貫衆 小薊藕節生連翹とでも覚えますか。

とうだいあかく はくぼうかんじゅう しょうけいぐうせつなまれんぎょう。

(桃仁大黄赤芍白茅根貫衆小薊藕節生地黄連翹)

心象風景として、

灯台に赤い光がともった。白い茅ぶき(白茅根)の大衆(貫衆、貫仲)の屋根が見える。薊(あざみ)(小薊)と蓮の花(藕節はレンコンの節と節の接合部分)、民家の庭先には黄色い生連翹が咲いている。色鉛筆で風景を描くように覚えたらどうでしょうか。

2014221日(金)