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衛気営血弁証 温病学総論 血分(けつぶん)証 病理 症候と診断の要点

2014-09-01 00:15:00 | 温病

 

本稿では、衛気営血弁証の最終ステージである重傷の血分証についてご紹介いたします。

 

前述したように、清営湯などで、透熱転気を導き、温熱病邪が営分から気分に転じると病状は好転します。現代医学用語では、免疫機能が体内で構築されるまで、患者が持ちこたえたとでも言えるでしょう。一方、非常に毒性が強く、体内での免疫機構が構築される前に温熱病邪が営分から血分に入れば病状は悪化するのです。

 

そもそも、中医学での

血分(けつぶん)とは、広く血の存在する範囲を指します。血球や血漿の分析も何もかもが存在しなかった時代の「血(けつ)」の中医学概念は近代医学の「血液」の知見と比較して、言わば、「貧弱極まりない」なものでした。
血分証(けつぶんしょう)とは、温熱病の衛気営血弁証で最も深い段階をさし、心、肝、腎に及んだ病変を包括する病証です。重症化すれば、痙れん、吐血、鼻出血、血便、紫斑、出血斑、意識障害などの症状がみられます。現代医学の用語では、いわゆる多臓器不全症にあたる病状です。

では、温病の用語を用いて、血分証に入ります。

血分証(けつぶんしょう) 病理: 熱盛迫血 熱瘀交結

弁証要点: 身灼熱斑疹 出血証 斑疹密 深紅舌 痙攣 意識障害

治方:涼血散血 活血祛瘀 熄風 開竅

 

血分各証と治則 代表方剤

熱盛動血(ねつせいどうけつ)証 治則:涼血散血

症状:吐血 衄血 血尿 血便 はっきりとした斑疹 紫絳舌)神昏譫語

身熱 絳舌

代表方剤:犀角地黄湯(さいかくじおうとう 温病条弁)

主治:熱盛動血証

治則:涼血散血(血分の邪を涼解し、かつ活血により散血すること)

組成:水牛角30生地30 赤芍9 牡丹皮9

水牛角 生地黄の組み合わせは清営湯にも見られます。

 

熱盛動風(ねつせいどうふう)

治則:涼肝熄風 滋陰増液 化痰通絡

症状:項強、痙攣、後弓反張、両目が上むく、意識昏迷

代表方剤:羚角鈎藤湯(れいかくこうとうとう 通俗傷寒論)

羚角鈎藤湯(通俗傷寒論)―涼肝熄風―熱盛動風証

主治 熱盛動風証

涼肝熄風とは清熱涼肝と熄風止痙により熱盛動風を治すことを意味します。

組成:

羚羊角0.6(分呑)鈎藤9(後下){涼肝熄風、平肝熄風}

桑葉6菊花9{平肝熄風 清散肝熱}

川貝母12竹茹15{清熱化痰以って通絡}

生地黄15白芍9生甘草2.5{酸甘化陰以滋陰増液 柔肝舒筋}

茯神9(平肝 寧心安神)

 

熱邪内陥心包(ねつじゃないかんしんぽう) 痰熱壅閉心竅(たんねつようへいしんきょう)

症状:意識障害

治則:涼開剤による清熱開竅 豁痰解毒

代表方剤:

安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん 温病条弁)

清心解毒 豁痰開竅の牛黄

開竅清心の麝香

清心涼血 解毒の犀角などによる、清心 透絡 開竅作用によって

熱邪陥入心包の意識障害から覚醒させる。

黄連 黄芩 山梔子は心包の熱毒を清し、

竜脳 郁金は開竅を助けるとされます。

組成を一応述べれば、牛黄 鬱金 犀角 黄連 黄芩 山梔子 朱砂(天然硫化水銀化合物) 雄黄(天然硫化ヒ素化合物)各30g、氷片 麝香 各7.5g、真珠15g、金箔に包むと記載がありますが、使用経験も無ければ、使用する気もありません。牛黄は成牛の胆石で、本物は確かに清熱効果に優れます。当院にも在庫があります。犀角も麝香もワシントン条約で取引禁止です。硫化水銀、硫化ヒ素に至っては有毒です。

 

至宝丹(しほうたん 太平恵民和剤局方)

朱砂 麝香 安息香 金銀箔 犀角 牛黄 琥珀 雄黄 玳瑁 龍脳

 

紫雪丹(しせつたん 外台秘要)

滑石 石膏 寒水石 磁石 羚羊角 青木香 犀角 丁香 升麻 玄参 甘草 朴硝 朱砂 麝香 黄金 硝石

さて、幸いにも患者が血分証を乗り越え、回復期になった場合の、血分虚熱証についてお話します。

血分虚熱(けつぶんきょねつ)温病後期 邪伏陰分

症状:午後微熱 五心煩熱 口干咽燥 精神不振 難聴(耳聾)身体消痩、脈細虚

治則:養陰透熱(先入後出)

代表方剤:青蒿鼈甲湯 (せいこうべっこうとう温病条弁)

養陰透熱(先入後出)

組成:青蒿6鼈甲15生地


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