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アトピー性皮膚炎の漢方治療 傷寒論は向かない?

2012-07-19 17:57:08 | アトピー性皮膚炎

五年間漢方治療を続けても改善しない中年症例

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顔面の激しい痒み、じくじくした湿疹と赤みが目立つ

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前頚部、後頚部も同様、引っ掻き傷がある。

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肘部のアトピー疹も目立つ。

背部はやや乾燥しているが、発赤と痤瘡様病変が目立つ。苔癬化も著しい。

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直近の処方内容

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120710

上記URLでも触れたが、現代中国の漢方現場では使用される頻度がゼロに近い

乾姜、桂枝、小柴胡湯中の生姜が使用されている。党参が平の性質を持つのに対し小柴胡湯中の人参は温の性質をもつので、アトピー治療現場では多用されない。

2012_07190016_2  同じく乾姜4五味子6gが目立つ。五味子も現代中国ではアトピー治療には極々稀で遭遇する確率は小さい。五味子は温薬であることから「留陽」の性質がある。熱はすなわち陽ですから、清熱を必要とするアトピー治療にそぐわない。五味子の名前の由来は、その香りと味にある。鼻先に持ってくると、独自の酸っぱい匂いを感じる。噛みしめると順に酸味、次第に独自の苦味、渋みを感じ、次に甘み、と少しの塩辛さを感じるようになる。酸味がもっとも強い。五味子の酸味は甘味と一緒になると酸甘化陰となり生津に作用する。

この漢方医がなぜ五味子を配合したのかを好意的に解釈してみる。

古来より五味子と梅(うばい)には下痢を止める止瀉作用と、体の陰液を増やす生津作用のほかに、肺気逆を抑える斂肺作用があることが知られている。さらに精液の漏れる遺精に効果があることが経験的に知られており、五味子の補腎作用の根拠になっている。五味子の帰経は肺 心 腎の3経で、心経から由来する効能の特徴として、不眠症に有効な養心安神作用がある。また、自汗や盗汗(寝汗)をとめる斂汗作用も有名である。上下内外に効能をまとめると、上は肺気を収斂して咳嗽を抑え、下は補腎に働き渋精止瀉に作用し、内は生津し、外は収汗止汗に働くことになる。配合されている有名方剤は小青龍湯(傷寒論)と射干麻黄湯(金匱要略)である。五味子が斂肺止咳に働く。傷寒論六経弁証では、外寒内飲証に使用されている。温化裏水(寒痰)兼 解表をはかるわけである。

小青龍湯の組成は麻黄 桂枝 干姜 細辛 白芍 五味子 半夏 炙甘草であり、温薬が中心である。五味子の量は1銭で3gである。麻黄による過度の宣肺を五味子の斂肺によって防止しているという解釈も可能である。

小青龍湯より柔らかい散寒化飲剤である射干麻黄湯(金匱要略)がある。射干 麻黄 乾姜 細辛 半夏  冬花 甘草 五味子 大棗の組成である。


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