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尿路感染症 漢方治療 知柏地黄湯加味治療 (腎病漢方治療354報)

2014-05-13 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

患者:蘇某 43歳 女性<o:p></o:p>

 

初診年月日20051214<o:p></o:p>

 

主訴:反復性頻尿、排尿痛三年余。<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

三年前頻尿が出現、排尿痛を伴う。当時、尿WBC2030/HP、多くの医療施設で「尿路感染症」と診断を受け、抗生物質投与を受けて、その都度緩解したが、過労に陥ると再発し、再発時の尿RBC540/HP、潜血±~2+であった。中西医結合治療を求めて外来受診した。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

排尿痛、頻尿、乏力、腰痛、舌質淡紅、苔薄白、脈沈細。尿RBC3040。(WBCについては記載が有りませんでした。)<o:p></o:p>

 

中医弁証:気陰両虚、湿熱内蘊<o:p></o:p>

 

西医診断:尿路感染<o:p></o:p>

 

治法:滋陰補腎、清熱利湿<o:p></o:p>

 

方薬知柏地黄湯加味:<o:p></o:p>

 

熟地黄25g 山茱萸20g 山薬20g 茯苓15g 牡丹皮15g 澤瀉15g 知母15g 黄柏15g 亀板20g 女貞子20g 旱蓮草20g 小薊(涼血止血)30g 白茅根(涼血止血 清熱利尿)30g 金銀花(清熱解毒利湿)30g 連翹(清熱解毒利湿)20g 白花蛇舌草(清熱解毒利湿)30g 蒲公英(清熱解毒利湿)30g 竹葉清熱除煩、生津、利尿)15g 滑石(清熱利湿 下焦湿熱の要薬)20g 甘草(調和諸薬)15g 瞿麦(活血利水通淋)20g 萹蓄(利水通淋)20g<o:p></o:p>

 

七剤、水煎服用、1日1剤、2回に分服<o:p></o:p>

 

解説:熟地黄から黄柏までが知柏地黄湯です。補腎陰清利内熱に作用します。<o:p></o:p>

 

亀板 女貞子 旱蓮草は亀板+二至丸の組成で、補陰増強と旱蓮草の止血作用となります。<o:p></o:p>

 

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二診<o:p></o:p>

 

前方服用21剤後、頻尿、排尿痛は顕著に好転、但し、排尿不快、尿不浄、時に腰痛、乏力、時に気短、眼瞼及び双下肢に浮腫あり。尿RBC812/HP。(WBCについては記載無し)湿熱の邪は除かれつつあるが、陰損が陽に及び、腎陽虚気化無力、水液不行、故に浮腫、尿不浄を見る。補気養陰、清熱利湿に加え、温陽を補佐として治療。<o:p></o:p>

 

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方薬清心蓮子飲加減<o:p></o:p>

 

黄耆(益気)40g 党参(益気養陰)20g 石蓮子益腎固渋 収斂止血 清心火)15g 地骨皮(退虚熱)15g 柴胡(疏肝理気 清熱 升陽)15g 茯苓(健脾利水)15g 麦門冬(養陰)15g 車前子(清熱利尿)20g(ここまでが張琪氏の清心蓮子飲です。方意は益気養陰 清利湿熱です。) 益母草(活血利水消腫)30g 金銀花(清熱解毒利湿)30g 連翹(清熱解毒利湿)20g 小薊(涼血止血)30g 白茅根(涼血止血 清熱利尿)30g 亀板滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)20g 女貞子(養陰)20g 旱蓮草(養陰 止血)20g 桂枝(通陽)15g 茴香理気和胃 散寒止痛)15g 巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)15g 益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)15g 甘草15g 白花蛇舌草(清熱解毒利湿)30g<o:p></o:p>

 

七剤、水煎服用、1日1剤、2回に分服<o:p></o:p>

 

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解説:「陰損及陽、腎陽虚気化無力、水液不行、故に浮腫、尿不浄(残尿感)を見る。」の評析は難しい中医学概念です。久病耗気という概念から説明すると、急病の陰虚が長引けば腎本来の機能を司る腎気まで波及し、腎気陽虚になり、浮腫や尿不浄が出現するという意味ですが、気化無力という表現の「気化」は、腎の「水液代謝機能」が低下(無力化)するという意味に捉えます。ともかく中医学の理論は遠い昔にある程度凝り固まってしまっていますので、評析も「自縄自縛的観念論」にならざるを得ないのです。<o:p></o:p>

 

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三診<o:p></o:p>

 

前方服用14剤、まだ排尿不快、時に腰痛、乏力あり、余症は顕著でない。尿RBC3~5個/HP<o:p></o:p>

 

経過<o:p></o:p>

 

方薬を変更せずに、継続21剤で諸症は消失。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

中医学では現在でも膀胱気化効能失常などの用語が用いられていますが、「定義」が判然としません。長い中医学の歴史のなかで、膀胱の気化作用の「根本定義」が曖昧なままに、排尿痛や頻尿の治療がなされてきて、一定の治療効果が得られたために、原論は解釈に留まっているのが現状でしょう。<o:p></o:p>

 

本案もタイトルは尿路感染ですが、感染症の検査などは一切ありません。近代の細菌学やウイルス学等の病原微生物学に対応する伝統的中医学の分野が無いのですから無理からぬ話ではあります。元来、細菌性の感染症の治療では、漢方は得意分野でないことは確かでしょう。しかし、ウイルス性の感染症の治療では漢方治療が時として奏功することがあることも事実のようです。<o:p></o:p>

 

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2014513日(火)<o:p></o:p>

 


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