日本では、40年前にはほとんどいなかった尋常性乾癬の患者さんが、近年、急激に増加した原因は、食生活の欧米化に関係すると考えます。一方、欧米では、昔から乾癬の人は圧倒的に多く、皮膚病の入院患者の約3割は乾癬が占めるほどです。すなわち、肥満がある場合には、特に肉食、脂っこいファーストフード、脂肪分を多量に含むケーキ類の菓子、砂糖たっぷりの飲み物、甘い果物などを、きっぱり止めて「玄米を中心とした昔の日本人の食生活」に戻ることが食養生では大切なことです。
症例は体重110kgの30代後半の男性です。10年ほど前から尋常性乾癬をわずらっています。初診時の所見をご覧ください。
典型的な「銀白色」の鱗屑(りんせつ)ができます。引っ掻くと出血しやすいのも特徴です。
基本的に紅斑の上に鱗屑(りんせつ)が重なっているのが観察されます。
安価なエキス剤として、滋陰降火湯、荊芥連翹湯各7.5gを処方しました。 外用薬としては、オイラックス系痒み止め、ザーネ軟膏、VitD軟膏、生薬エキス剤(涼血活血剤、養陰清熱剤)の濃縮エキス剤を混合しました。 治療後の変化をご覧ください。
「銀白色」の鱗屑(りんせつ)が薄くなっています。
「銀白色」の鱗屑(りんせつ)は薄くなり、紅斑が目立つようになりました。 ここで、上記の塗り薬に、ステロイド軟膏とプロトピック軟膏を加え、処方はそのままで、「玄米を中心とした昔の日本人の食生活」に戻るようにしました。勿論、辛辣な香辛料は厳禁です。熱性の生薬以下、附子{辛 補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)、乾姜(辛温 温中 回陽)、肉桂(温裏散寒、補火助陽、引火帰源)などは禁忌です。体重は110kgから95kgに減じました。上記写真時より1年4か月後の所見をご覧ください。
「銀白色」の鱗屑(りんせつ)や紅斑はほぼ完全に消失しています。
面倒な煎じ漢方薬をも用いなくても、安価なエキス剤の組み合わせと外用薬と厳格な食養生によって穏解が得られた症例です。
―後記―
エボラ出血熱の抑え込みは成功しておらず、死者数の急激な増加、感染の拡散が報告されています。日本に入ってきたら感染拡大は抑えきれないのではないかと危機感は重大です。
世界同時株安が、先週末のNY市場でストップがかかり、一服するのか?週明け、つまり本日の東京市場はどうなるのか?円高傾向が一服するのか?
1週間ほど記事の更新をしなかったのは、心穏やかならずの状態だったからです。
ドクター康仁
2014年10月20日(月)