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若い女性のアトピー性皮膚炎に対する開業医の責任は重大

2014-10-02 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

10代後半や20代前半の女性のアトピー性皮膚炎の治療は特に丁寧に行うべきであると、ドクター康仁は思います。というのは、就職や恋愛に皮膚病変は大きな障害になりえるからです。皮膚病変がダラダラと悪化していけば、精神的に不安定、消極的になり、出会いにも消極的となり、婚期(適齢期)を逃してしまった女性を数多く診てきたからです。従って、「見た目重視」と「病の寛解」を両立させていくことが、難しいことですが、医師の責任となると思うのです。

 

患者21歳女性です。15歳ごろからアトピー性皮膚炎を患い、穏解と再発を繰り返してきました。通年性のアレルギー性鼻炎の病歴があります。平成26年度は4月ごろから皮膚病変の悪化が進んで来たとのことです。他医での治療内容(多剤ステロイド単独)は省略します。通信販売で「アトピーラボ」(小生は知りませんでしたが)の製品である「ハーブジェル」、「APS(要冷蔵)」を購入して外用していたが、皮膚病変の改善傾向が無く、次第に悪化したので、他県から当院を初診されました。

 

 

 

初診時(平成26818日)所見

 

 

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典型的な肘部内側の慢性湿疹と色素沈着、両手首屈側部には痒みを伴う湿疹(一部化膿疹)と、同じく色素沈着を認めます。前腕伸側部にも痒疹が有りましたが、写真は省略します。

 

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顔面の痒疹の他、下顎部分から前頸部にかけて発赤を伴う痒疹と、前頸部の軽度の色素沈着を認めます。

 

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後頚部には項(うなじ)部分の発赤を伴う痒疹、背部には、慢性化した苔癬化アトピー局面に交じり、活動性のある発赤疹が散在し、色素沈着も部分的に認められます。

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 右膝裏から大下腿部後面にかけて、痒みを伴う湿疹と色素沈着、左側にも色素沈着が認められます。膝裏は、部分的に皮膚は粗造で柔軟性を失い、硬くなっています。

 

初診時に私が考えたこと、食事指導処方

 

年齢が若いことから、その分、皮膚の再生力が強いので、改善も速いであろうから、苔癬化局面も色素沈着も改善するであろう。要は再発傾向を抑え込むことと、皮膚を掻かないようにするために、辛辣厚味の食品を避ける必要がある。(康仁堂慢性アトピー禁食方に従う)

 

反跳(リバウンド)を警戒しながら低濃度のステロイドは必要である。外用薬として、1/15程度のマイルドなステロイド、保湿剤、痒み止め、漢方エキス剤(清熱涼血、養陰血)、極少量の抗生物質、タクロリムスも少量使用すればよいかもしれない。全部を混合して塗り薬とする。(ベリーストロングからマイルドなステロイドまでの軟膏、クリーム、ローションを数本処方して、部分的に塗り分けるというような皮膚科の処方も見かけられますが、殆ど長続きしなく、苔癬化アトピーに陥る症例を見てきました。)経口剤として、当帰飲子、消風散各5.0g{両剤には当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便)と防風(祛風解表、勝湿、止痛、解痙)の重複があるものの許容範囲である}、エバステル20mg、シナール3錠、ビオチン1.0g。患者が購入していたハーブジェル、APS(要冷蔵)は中止。

 

 

 

 

二診時(平成2696日)所見

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前腕部(肘部、手首等)皮膚の発赤疹は消退、色素沈着も大減しました。

 

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下顎から頸部にかけての発赤疹が大減、色素沈着も目立たなくなりました。

 

 

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項部分の発赤疹も消退、背部も「調子が良い」とのこと。

 

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僅か3週間の治療後の両側膝裏の所見です。右膝裏から大下腿部後面にかけての、痒みを伴う湿疹は大いに改善してきました。色素沈着も軽減傾向にあります。初診時の膝裏の部分的な皮膚の粗造、硬化は改善し、患部には潤いが生じています。

 

 

 

直近 三診時(平成26929日)所見

 

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顔面の痒疹、下顎部分から前頸部にかけて発赤を伴う痒疹は消失・前頸部の軽度の色素沈着も消失しました。

 

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項(うなじ)部分の発赤疹の再発は無く、ほぼ正常な皮膚になりました。

 

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背部には軽度の色素沈着が残存していますが、活動性の湿疹は無く、苔癬化の改善傾向が著しい。

 

再度、初診時の背部所見と比較なさってください。以下

 

 

 

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三診時より秋の花粉症を考慮して、エバステルをペミロラストカリウムに変更しました。目や鼻の症状は、すぐに皮膚にも反映されるという印象を持つからです。

 

 

 

私の治療指針は、中西医結合(漢方&西洋医学結合)治療を以て、人体の自然治癒力のお手伝いをするのを基本としています。医師を職人に例えれば、道具は多い方が良いのです。

 

いつも申しあげているように、皮膚科領域では効果が一目瞭然ですから、「論より証拠」なのです。

 

 

 

ドクター康仁

 

2014102日(木)