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閉経後も持続するアトピー性皮膚炎の中西医結合治療成功例

2014-10-08 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

45歳で閉経し、50歳になってもアトピー性皮膚炎に悩んでいた症例をご紹介します。直近の平成2610月4日まで計57回の診察をしていますが、平成241215日以降、アトピーの再発は無く、安定している症例です。

 

初診年月日:平成22721

 

病歴:幼少時期よりアトピー性皮膚炎が始まり、皮膚科で主としてステロイド外用で対処していたが、29歳頃から悪化傾向が出現、45歳で閉経。3年前(47歳)から皮膚病変が酷くなり、皮膚科ではステロイド軟膏、プロトピック軟膏を処方されたが改善傾向が少ないために、漢方薬局で、薬剤師に勧められ、オウゲインV(コタロー)、涼血清営顆粒(イスクラ)、瀉火利湿顆粒(イスクラ)を購入し、当院初診前の4か月間、朝オウゲインV6錠、瀉火利湿顆粒2包、夕にオウゲインV6錠、瀉火利湿顆粒1包、涼血清営顆粒1包を服用していた。アレルギー性鼻炎(通年型)があり、鯵(あじ)とセフェム系抗生物質ケフラールにてアレルギー性皮膚病変が出現したことがある。20代後半に腎盂腎炎の既往がある。外用剤として、皮膚科から処方されたステロイドは減量して主としてプロトピック軟膏を使用していた。

 

補足:温(熱)薬は赤、微温薬はオレンジ、平薬はグリーン、涼薬はライトブルー、寒薬はブルーで記載してあります。

 

オウゲインV黄連解毒湯の錠剤です。

 

組成:黄芩(苦降寒 清熱解毒利湿 泄熱除痞)黄連(苦降寒 清熱解毒利湿 泄熱除痞)黄柏(清熱解毒燥湿 退虚熱 堅陰)山梔子(瀉火除煩、清熱利湿、凉血解毒)

 

瀉火利湿顆粒(イスクラ):竜胆瀉肝湯の処方に基づいた9種の生薬からなる製剤です。

 

組成:当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便)熟地黄(補肝腎養血滋陰、補精益髄)木通(苦/寒 泄熱利水通淋)黄芩(苦降寒 清熱解毒利湿 泄熱除痞)澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)車前子(清熱利水通淋)龍胆草(清熱解毒燥湿 瀉肝火)山梔子(瀉火除煩、清熱利湿、凉血解毒)甘草(調和諸薬)

 

涼血清営顆粒(イスクラ):

 

組成:地黄{熟地黄(補肝腎養血滋陰、補精益髄)か生地黄(養陰清熱)か不明}芍薬{白芍(養血斂陰)か赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)か不明}黄芩(苦降寒 清熱解毒利湿 泄熱除痞)大黄(活血解毒通腑泄瘀濁下行)牡丹皮(清熱涼血 活血祛瘀)山梔子(瀉火除煩、清熱利湿、凉血解毒)

 

服用漢方薬に対する私の印象

 

 

苦寒薬の黄芩、山梔子の重複が明らかであり、清熱解毒は理解できるが、燥湿に傾く(皮膚が乾燥する)のは明らかである。当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便)の配伍は、中医基礎理論の「治風先治血 血行風邪減」の観点からは望ましい。しかし、何より痒み止め(祛風剤)の配伍が全く無い。慢性化したアトピー性皮膚炎に対する養陰(清熱)潤膚(陰を養い熱を清し肌を潤す)の原則からすれば養陰剤の配伍が無いに等しい。漢方薬局の薬剤師に勧められるままに、長期服用すれば、必ず「苦寒傷脾」、即ち、胃腸障害を起こす組み合わせであり、皮膚は粉をふいた様にガサガサに乾燥するであろうし、苔癬化皮膚病変の改善は望めない。

 

初診(平成22721日)時所見

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前腕部皮膚表面は乾燥、発赤疹が多数存在するが、赤味は軽い。

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上腕から前腕にかけて皮膚の硬化と厚化、表面の乾燥が著しく、ゴワゴワした苔癬化アトピーの所見を示す。

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健常部分と苔癬化部分との境界部である。病変部分には赤味は少ないが、硬化と厚化が出現しており、表面は湿潤を失いつつある。

 

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前頸部から前胸部の皮膚は、いわゆる「ツッパリ感」を伴