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皮膚のトラブルは女性につきもの。挫創(ざそう、ニキビ)様皮膚病変、蕁麻疹、湿疹を乗り越えて結婚式に臨

2014-09-17 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

女性に皮膚のトラブルはつきものです。乾燥肌、逆に脂漏肌、湿疹、蕁麻疹、挫創(ざそう、ニキビ)などです。その都度、治療を行い、色素沈着を残さずに改善させていくのが開業医としての責務なのです。アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの既往が存在すると治療が難しくなります。

 

本稿では、種々な皮膚のトラブルに随時対応しながら、色素沈着を残すことなく、綺麗な肌を保ちながら結婚式に臨んだ女性の報告をします。

 

初診は平成229月、患者さんが21歳の時です。

まず、写真をご覧ください。

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挫創(ざそう ニキビ)様の病変が頸部に認められます。

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挫創(ざそう ニキビ)様の病変は両側肩の部分にも存在します。

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挫創(ざそう ニキビ)様の病変は前胸部にも多数認められ、色素沈着もあり、慢性化しています。左前胸部には小範囲に皮膚の発赤も存在します。ちょうど初診の数日前に蕁麻疹が出現して、診察時には消失していました。18歳ごろから、挫創、湿疹、皮膚の掻痒があり、次第に悪化してきたとのことでした。小児期にはアトピー性皮膚炎、気管支喘息があったとのこと。

 

初診時の治療方針:基本的にアレルギー体質(アトピー性皮膚炎、気管支喘息の既往)があることは確かであるが、先ずは挫創様病変の治療と、蕁麻疹の予防を行い、とりあえずは皮膚のブツブツ病変を無くする。

 

初診時の処方荊芥連翹湯5.0g 十味敗毒湯5.0g(以上1日量、午前の食間、眠前に2回に分けて服用)、エバスチン(エバステル後発品)OD錠1錠眠前服用、外用剤としてクロタミトン(オイラックス後発品)、ナジフロキサシンクリーム、極少量のクロベタゾールプロピオン酸エステルをミックスして使用開始しました。

 

 

その後、蕁麻疹の発生頻度が減少、挫創様病変は軽快に向かいました。色素沈着改善を目的に、シナール(ビタミンC製剤)3錠、ビオチン1.0g(以上1日量)を併用開始、しばらくは小康状態でしたが、下肢に痒みを伴う湿疹が出現したとのことで、エバスチン(エバステル後発品)OD錠を2錠に増量、朝食後と眠前に服用していただきました。

 

 

平成23年の3月頃になると、蕁麻疹、挫創病変は軽快してきましたが、いわゆる皮膚炎症状が出現しました。写真下。

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うなじ部分の痒みを伴う発赤疹が認められます。

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 アトピーとは対照的に肘部、前腕の伸側に痒疹が観察されます。

 

冬場から皮膚の乾燥を自覚していたということで、外用剤として保湿クリームを併用し、経口剤は当帰飲子5.0g消風散5.0g((以上1日量、午前の食間、眠前に2回に分けて服用)、エバスチン(エバステル後発品)OD2錠、シナール(ビタミンC製剤)3錠、ビオチン1.0g(以上1日量)は継続、睡眠中に無意識に引っ掻いてしまうとのことで、ロラタジン(Loratadine)10mg1錠を眠前に服用していただきました。外用剤はそのままです。

 

その後、皮膚炎症状は改善されました。写真下。

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 後頚部の発赤疹は消失、皮膚は正常化し、産毛(うぶげ)の発毛も正常です。

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肘部外側部痒疹、前腕部伸側痒疹も消失しました。

 

但し、23年の猛暑多湿の時期に前胸部の汗疹から一部、挫創様変化が出現しましたので、経口漢方薬を初診時の荊芥連翹湯5.0g 十味敗毒湯5.0g(以上1日量、午前の食間、眠前に2回に分けて服用)に戻しました。

 

平成24年度は、皮膚病変は落ち着いていました。

 

平成25年8月に再度皮膚の掻痒感が出現し、軽い皮膚炎の所見が生じました。経口漢方薬は再度、当帰飲子5.0g消風散5.0g((以上1日量、午前の食間、眠前に2回に分けて服用)に変更しました。11月までに症状は消失。

 

その後、今年に入ってからは、病情は安定し、受診は無かったのですが、結婚式を控えて、予防的に漢方薬を服用したいとのことで7月にご来院されました。

 

直近の写真(平成26717日)

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挫創(ざそう ニキビ)様の病変の完全消失 色素沈着無し。

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挫創(ざそう ニキビ)様の病変は完全消失。色素沈着無し。

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初診時写真と比較すれば、多数存在した挫創(ざそう ニキビ)様の病変は消失、色素沈着も無く、慢性化病変はほぼ寛解しています。皮膚の発赤もありません。

 

何度も、食事療法を行いましたが、内容は省略させていただきます。

 

 

21歳から25歳まで診させていただいている患者さんですが、大変に「お美しく」なりました。

 

漢方医の心がけとして申し上げたいことは、長年の体質(素体)を一挙に改善するというような「功を急ぐべきではない」ということです。人体の自然治癒力の回復のお手伝いをするという意識が大切です。私は痤瘡に対して常に、経口抗生物質を投与しないので、勿論、本症例に抗生物質の経口投与は行いませんでした。

 

 

皮膚科領域では効果が一目瞭然ですから、「論より証拠」なのです。臨床家としての経験が決まりきった「標準的治療」より大切な分野です。

 

 

 

ドクター康仁

 

2014917日(水)