自己免疫疾患に対する免疫抑制剤、抗がん生薬としての虎杖根
私が育った会津ではイタドリを「スカンポ」と呼ぶ。子供のころは、よくちゅうちゅうと吸ってその酸味を楽しんだ。蓚酸が酸味の元である。食用は地上茎の部分であり、蕨(わらび)の出る時分が食べごろだ。薬用の地下茎は、秋に根を採り、洗浄して日干しにし、乾燥させたものを刻んで生薬とする。中国の呼び名の虎杖の由来は、食用とする地上茎の赤紫色の斑点が虎皮の模様に似ているためとされている。
解毒消腫作用があり、熱症、皮膚化膿症、打撲損傷に服用あるいは、虎杖の粉末を油で調製して外用される。これは虎杖の抗菌力のためとされる。また、外用すると痛みが和らぐので、呼び名が「痛取り」から「イタドリ」になったという説がある。
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イタドリの根:虎杖根
子供のころは桑の木もいたるところにあった。養蚕業の衰退で、今では桑の木を会津で見つけるのは至難の業だ。中国では「桑是全身宝」といい、桑の葉、桑の実、桑の枝、全部が薬用になる。桑の枝は中国では「桑枝(サンジ)」といい、祛風通絡作用があり、上半身の関節痛、特に肩関節の痛みに効果があるとされる。平性なので、関節が冷えて痛む場合も、逆に熱を持って痛む場合にも使用できる。「桑枝虎杖湯」と呼ぶべきせんじ薬がある。桑枝と虎杖を煎じたものだ。関節痛に効果がある。
まさに、身近にある生薬を応用したものだ。
虎杖根の祛風湿作用は一般に、風湿痹症(関節炎)に秦艽(シンキュウ)、防己(ボウイ)、防風(ボウフウ)などと一緒に、あるいは単独で使用されるが、桑枝を加筆したい。
虎杖根の帰経に関しては清書によって記載が異なり、日本の清書では肝腎と記載されている一方で、中国の清書には肝胆肺あるいは肝胆肺腎と記載されているものもある。民間療法では、咳止めに、虎杖根と等量の淡竹葉、さらに甘草を少し入れて、煎じて飲むという使われ方がある。帰経に肺を加えた方が良いかも知れない。
月経不順や閉経に奏効するのは、破淤通経作用があるからだ。この意味で産後の瘀滞にも有効だ。清熱解毒作用と活血作用の強い破血作用を併せ持つ生薬は少なく、この意味で虎杖根は貴重な存在と言える。
慢性リュウマチに虎杖根を煎じて飲むと有効であるということは以前から民間で知られていたことだ。1日量9グラム前後に、水0.5リットルを加え、約半量まで煮詰めた煎じ液を、1日3回食間に服用する。清熱解毒、祛風湿作用によるとされるが、近年面白い実験結果が報告されている。
虎杖根から抽出したレスベラトロールは、抗がん活性があり、この抗腫瘍作用はNK細胞の活性化やキラーT細胞の活性化などの免疫力増加作用ではなく、がん細胞のDNA合成を直接障害する作用であるという報告だ。抗がん剤であるリウマトレックスは現在慢性関節リュウマチに免疫抑制剤として使用されている。虎杖根は雷公藤とともに自己免疫疾患の有力な免疫抑制剤になる可能性がある。実際に使用してみると、慢性関節リュウマチの関節部位の局所熱やCRPの低下に有効である。
虎杖根の利湿退黄通淋作用は湿熱黄疸、尿路感染症、帯下に単独あるいは金銭草(キンセンソウ)、垂盆草(スイボンソウ)、茵陳蒿(インチンコウ)などと一緒に使用される。非代償性肝硬変かつ原発性肝癌併発の症例に用いて、病状の安定(黄疸の悪化無し、CRPの正常化)が三年余も得られていることを付記したい。
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