先ず、清肺胃利湿熱法の漢字表現は、清肺胃 利湿熱 法と分割すると解りやすくなります。利は動詞で、利するとは、「祛」に置き換えることができます。祛湿、祛瘀に有るように、湿、瘀血を除くという意味で使用されており、平易に言えば、利湿熱は湿熱を除くという意味になります。利の使い方は、例えば「利小便実大便」の「小便を通利し尿量を増やして、大便を形のあるものにする」もっと平たく言えば「小便を増やし、下痢(泄瀉)を止める」の意味にあるように利益、通利、利便の利の使い方とは趣を異にしています。湿だけでも、利湿、祛湿、燥湿、除湿、化湿といろいろな用語があります。混同しやすいので、本稿ではこれ以上、論を進めません。<o:p></o:p>
尿毒症期も含め、慢性腎不全の病機には脾の運化失常があります。一般的には甘寒の薬剤は脾の運化を妨げる意味で使用はよろしくないとされます。但し、一部の患者では脾胃陰欠、湿熱運化阻害の証が現れます。即ち、臨床症候として、口干、舌光(少苔或いは舌苔が無く鏡面状)、不欲飲、悪心嫌食、胃脘灼熱隠痛、胃部不快、五心煩熱、脈細数。口臭、呼気に尿臭、鼻血あるいは歯肉出血などです。<o:p></o:p>
方用 加味甘露飲(かんろいん:太平恵民和剤局方):生地黄(甘苦/寒 養陰清熱)15g 熟地黄(甘/微温補肝腎養血滋陰、補精益髄)15g 茵陳蒿(苦/微寒~寒 清熱利湿退黄)15g 黄芩(苦/寒 清熱解毒利湿)10g 枳殻(苦/微寒 理気下降)15g 枇杷葉(化痰止咳、和胃降逆)15g 石斛(甘、微寒 帰経胃、腎、功能 養胃生津)15g 天門冬(甘苦/大寒 清肺降火 滋陰潤燥)15g 麦門冬(甘微苦/微寒 潤肺養陰、益胃生津、清心除煩)15g 沙参(甘/微寒 清肺養陰、益胃生津)15g 天花粉(苦甘/寒 養陰清熱利咽)15g 芦根(甘寒 清熱生津清胃熱)20g 萹蓄(利水通淋)20g 麦芽20g 佛手(辛、苦/温 疏肝、理気、和中、化痰 開胃醒脾 緩急止痛)10g 水煎服用<o:p></o:p>
方中、二地(生地黄 熟地黄)、二冬(天門冬 麦門冬)は脾胃の陰を滋養し、陰虚はまた熱邪が耗陰するが故に、黄芩 茵陳蒿を用い、所謂、清熱存陰をはかり、枇杷葉は逆気を降ろし、枳殻は行気和胃に働き、天花粉は潤肺生津に作用し、麦芽 佛手は開胃醒脾に働き、甘寒薬物の合用による滋膩と脾の運化の妨げを防ぐとする方剤論です。陰虚にして湿熱を挟む弁証に対応する方薬です。<o:p></o:p>
甘露飲加減方の症例での使い方については以下に紹介してありますのでご参照ください。とても誠実な医案です。<o:p></o:p>
慢性腎不全:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20131115<o:p></o:p>
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2014年6月19日(木)<o:p></o:p>