古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十九章 乍恐奉願口上書付 其の四

2015年02月08日 08時54分18秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第一頁、上の七~八行目

 

解読 奉納三反幟りニ而、少シ風吹候節

    抔壱人差シニ難成大幟り之儀

 

読み 奉納三反幟りにて、少し風吹き候節

    など一人差しに成り難く、大幟の儀

 

解説 「奉納」・・・天満宮へ奉納した。 「三反幟りニ而」・・・三反の大きさの幟りで。「反」は布の大きさの単位。 「少シ風吹候節抔」・・・少し風が吹いた時など。「抔」は『など』。 「壱人差しニ難成」・・・「差し」はのぼりを持つ事を言います。又幟を持つ人の事も「幟差し」と言います。一人で持つ事が難しく。 「大幟之儀」・・・大きい幟(のぼり)に関しては。 


第三十九章 乍恐奉願口上書付 其の三

2015年02月07日 08時16分00秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第一頁、上の五~六行目

 

解読 神事相勤候義ニ御座候。然處

    當村若ひ者共与り天満宮江

読み 神事相勤め候義に御座候。然る処

    当村若い者どもより、天満宮へ

解説 「神事」・・・神様を祀る儀式。祭礼の儀式。 「相勤候義」・・・実施する事。 「義ニ御座候」・・・延期して、今月二日に祭礼を行う事になった次第である。 「然處」・・・然る処。ところが。 「当村若ひ者共」・・・当上村の若い者ども。「若ひ」・・・「若い」。送り仮名としての「ひ」は「い」と発音する事がまま有りますので、当時は「若ひ者」と書いて「若い者」と読ませました。 「与り」・・・より。「与」は平仮名の「よ」の元字。 「天満宮江」・・・ここは一番鮮明でよく判ります。   ◎ 昨日の「蒙仰」のところは、「承仰」・・・「仰せを承り」に修正させて頂きました。


第三十九章 乍恐奉願口上書付其の二

2015年02月06日 07時43分36秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第一頁、上の三~四行目

 

解読 ニ御座候処、折節御慎觸承仰

   祭禮之式延し置、當月二日ニ

読み (祭礼)に御座候処、折節御慎触仰せ承わり

   祭礼の式延ばし置き、当月二日に

解説 今日の画像はカラーでスキャンしましたが、あまり代わり映えしません。御免下さい。読めない箇所は、解読通りに読んで下さいますようお願いします。 「御座候処」・・・「座」が大きく、「候」は小さな点になっています。 「折節」・・・これも読み取り困難です。ちょうどその時。 「御慎觸」・・・これも読み取り困難です。慎んで触れる。お達しを告げる事。 「承仰」・・・薄い字で読めませんが、串本町史に依りますと、「仰せを蒙る」となっていますが、「仰せを承る」の方がよいと思います。 四行目最初は「祭禮之式」・・・祭りの儀式。 「延し置」・・・延期して。 「當月二日ニ」・・・ここが一番易しいです。


第三十九章 乍恐奉願口上書付 其の一

2015年02月05日 08時33分11秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

「乍恐奉願口上書付」第一頁、上の一~二行目

解読 當上下両村持合之氏神當村領

    内ニ鎮座仕御座候。例年八月廿五日祭禮

読み 当上下両村持ち合いの氏神当村領

    内に鎮座仕り御座候。例年八月二十五日祭礼

解説 田並上村文書の中では長文で、文字が読みにくい文書に挑戦しましょう。文字の映りが薄いのが難点です。この地区には、田並上村と田並浦二ヶ村共有の氏神様が有り、田並浦境界に近い上村領に立地しています。元々慶長年間の検地表では、田並村一か村でしたが、江戸時代に二村に分割されたものと思われます。神社だけではなく、寺院も共通の一寺で、こちらは田並浦の中心地に有ります。神社は「天満宮」、寺院は「圓光寺」と言います。本文は、天満宮の祭礼の際に幟(ノボリ)の行列の運行でもめた際の大庄屋宛の陳情文です。

「口上書付」・・・口頭で述べた内容を文章にした陳情書。「書」の書体がいつもながら読みにくい。 「下村」の右あいだに読めませんが「両」と言う字を挿入しています。 同じく「村」の次ぎに「持合」と挿入しています。 二行目最初は「内」です。続いて「御座候」の右側に挿入で「鎮座仕」と書いています。 「例年」の「年」は形で覚える字。 「八月」の次は「廿五日」です。この三文字も難解。最後は「祭禮」です。「禮」は「礼」の旧字体。


第三十八章 極窮者江救合取替遣帳 其二十

2015年02月04日 07時01分42秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「極窮者江救合取替遣帳」第七頁、上の四行目以下

 

解読 (銀)札百目被下候ニ付、右之通り

    遣し申候。已上。

    文久元年酉三月

読み (銀)札百目下され候に付き、右の通り

    遣わし申し候。以上。

解説 「銀札百目」・・・五十目づつ二回にわたり、合計百目。 「被下候ニ付」・・・下され候に付き。下されたので。 「右之通り」・・・実際の帳簿では、「一合五拾匁也」の右に(前に)誰それに何匁、等々の記載が有りますが、省略しています。 「遣し申候」・・・遣わし申し候。お与えなされた。 「已上」・・・以上。

この古文書は、横に細長い帳簿形式のものです。帳簿形式のものは、半紙を横に二つ折りにして表紙は縦長で、内部は横長の帳簿になっています。古文書の教材としては、扱いにくいスタイルと言えます。 本章終わり。