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日本文化のユニークさ24:自然災害が日本人の優しさを作った

2011年06月08日 | 自然の豊かさと脅威の中で
このブログでは、日本文化のユニークさを歴史的な視点から5項目にまとめて論じてきた。これらはあくまでも暫定的なものなので、今後、文言を変えたり、項目を追加したり削ったりはありうる。今、考えているのは項目3に少し文章を追加することだ。従来の項目3は次の通り。

3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

ところで、日本という国は、ユーラシア大陸の歴史と違い、異民族の侵入による虐殺や支配、文化の破壊は経験しなかったが、地震や津波、台風などの自然災害は繰り返し経験してきた。古くから自然災害に何度も襲われてきたという日本人の経験もまた、日本文化に独特の性格を与えているだろう。これに関連するテーマは、このブログでも何回か取り上げた。

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ポイントは次のようなことである。異民族間の戦争の歴史の中で生きてきた大陸においては、信頼を前提とした人間関係は育ちにくい。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積される。一方日本列島では、異民族による殺戮の歴史はほとんどなかったが、自然災害による人命の喪失は何度も繰り返された。しかし、相手が自然であれば諦めるほかなく、後に残されたか弱き人間同士は力を合わせ協力して生きていくほかない。こうした日本の特異な環境は、独特の無常観を植え付けた。そして、人間への基本的な信頼感、優しい語り口や自己主張の少なさ、あいまいな言い回しは、人間どうしの悲惨な紛争を経験せず、天災のみが脅威だったからこそ育まれた。

そこで3)に次のような文章を付け加える。

3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。一方、地震・津波・台風などに代表される自然災害は何度も繰り返され、それが日本人独特の自然観・人間観を作った。

これに関連して少し付け加えておきたい。

地震を筆頭に 日本の自然は不安定であり、 いつも自然の脅威にさらされてきた。それが日本人独特の 「天然の無常観」を生んだと指摘したのは、戦前の日本の物理学者であり、地震学者でもあった寺田寅彦である。自然が猛威を振るうと、ある種のあきらめの状態のなかで耐えるほかない。しかしそれは悲観的で絶望ではなく「天然の無常」ともいうべき自然感覚による、自然への対処だった。(『寺田寅彦随筆集 (第5巻) (岩波文庫)』)

「天然の無常観」の奥にあるのは、はかなさや悲しみに打ちひしがれてしまうのではなく、それを受け入れたうえで、残された者同士がいたわりあって生きていこうとする決意だ。諦念に裏打ちされた前向きな姿勢だ。東日本大震災後にもはっきりとそれが見られた。日本人は、「天然の無常観」を連綿と受け継いでいる。だからこそ、家族を失った被災者が「こんなときだからこそ元気に生きていきたい」と語り、日本中が力を合わせて立ち直っていこうという雰囲気が瞬く間に生まれるのだろう。

呉善花も近著『日本復興(ジャパン・ルネッサンス)の鍵 受け身力』のなかで次のようにいう。

「日本人は甚大な被害を与える大地震・大津波が何度も繰り返される歴史のなかで、深い悲しみを乗り越え『すっぱりと過去への執着を断ち切り、気分を一新して新しい世の建設へ向かう』という、「前向きの忍耐』を余程のことしっかり根付かせてきたのに違い。今回の東日本大震災で、多数の被災者・救援者の方々に共通に見られる対処の姿勢から、私は強烈に教えられた。」

彼女によれば、日本文化は基本的に受け身をモットーとする文化だという。受け止める力によって、造り直して足場を固め、前へと進む反復する力が、日本文化を形成してきた。日本文化は、天災であれ海外から来る先進文化であれ、外部からくるものを押しのけて排除するのではなく、しっかり受け止め、取り込むことで前へと前進していくエネルギーを常に保持してきたし、これからも保持していくだろう。であるなら日本の未来は明るい。

ともあれ、日本文化のユニークさの項目3)に自然災害の影響に関する文を入れることは欠かせないだろう。

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