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席を替わってあげなさい

2017-03-15 09:29:27 | 日記・エッセイ・コラム

 先日、バスに乗ったところあいにく満席のために少し空いたスペースに立った。                                                                                    目の前には高校生らしい少女が座っていて後ろの席のクラスメイトらしき仲間とじゃれあっていた。                                                                        杖をついて立っている僕を無視しているのか、気付かないのかはわからないが、お構いなしだった。

 バスは進むにつれて立つ人が多くなっていったが、だれも席を譲る気配はなかった。そうだ。春休みなんだ。                                                                    10代から20代そこそこの若者がほとんどの席を占めいていた。バス停を5つ6つ過ぎたあたりだろうか。                                                                      後部に立っていた西洋人らしきすらっとした女性が降りるようで予め僕の後ろを歩いて出口に近づいてきた。

 すると、いきなり僕の前の席を占めている少女に「あなた、この方に席を譲ってあげなさい」と険しい顔で日本語で話した。                                                           女性はびっくりした表情で、あわててぼくに「どうぞ」と言って立とうとした。僕はすぐ降りてしまうので、ここまで来たらもう立っていようと思い、                                               「ありがとう。すぐ降りるから、ゆっくり楽しんで」と返答した。今思えばやせ我慢のきざなことを言ってしまったと好意に反することを言った。                                                 

 それにしても外国人のお客は、席を譲ろうとしない行為にきっと苛立ち、我慢できないと思ったのであろう。                                                                     そんな光景に出くわして、僕はもしこんな場面に会ったらはたして言えるだろうかと考えた。                                                                                僕よりもっと高齢で苦痛そうな人が乗ってくることはよく見かけるが、だれも譲ろうとしないシーンは日常的だ。                                                                 杖をついて歩くぼくが横にいる人に席を譲るのは、健常者への皮肉のような気がしないでもないが、やはりここは、                                                              お互い様の精神で「どうぞ」というべきなのだと気付くのである。すると気分がよくなるかなと思う。

 それにしても、やさしいはずの日本人は案外不親切な部分が多いように見える。あんまりスマホに夢中になりすぎると、                                                             その人から親切心を失ってしまうのだろうか。東京オリンピックを目の前にして、あるいは海外からの観光客が増加すると喜ぶのは                                                    金勘定を主にする浅ましき人なのだろうが、この機会にハートの部分の立ち居振る舞いが国際級にならないといけないと痛感した。

やさしいタイガー


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