遂にその日が来た。1995年3月20日、阪神・淡路大震災で混乱が起っている最中、 東京を中心に無差別大量殺戮を狙ったオウム真理教一群は地下鉄に有毒化学物質 サリンを撒き、27人を殺害した事件の首謀者松本智津夫ら死刑囚13名のうち7名が 6日朝死刑が執行された。所轄担当の上川法務大臣は前任期を含めて10人の死刑 執行をしたことになる。
今までもっとも多く執行したのは鳩山邦夫氏の13回、上川氏は3位である。よしあしは 別にして、今回の裁判は異状のように思えた。通称麻原彰晃は裁判で話すことなく、 長い独房生活を送っていたようだ。7人の中には大学で専門技術を見に付けた人物が 多く、一般的にはなぜ知力のあるものが大事件を起こすようになったのか、と疑問に 思われていた。
結果的には無慈悲で容赦のない行為を繰り返し、世間を震撼とさせることになった。 報道機関はこの事件の経緯と分析を報じていたが、どこかすっきりしない感じをを受けた。
この事件について、ぼくは二つの解明がなされていないように感じた。一つはなぜ彼らは このような大事件を起こそうとしたのか、を当事者から深く聞き取ってきたか、という点だ。 収監中にも時間をかけて収集できなかったのか。そして聞き取るのは誰であればよいのか、 も見えない。
もう一つは高い高等教育を受け、社会でも十分活かせる力をもった若者があの不思議な カルト集団に惹かれたのはなぜか、一人ひとりに聞き取ることができなかったのか、という 点だ。裁判という最高機関で話したことが十分であるとは思えない。彼らのなした無慈悲な 言動の深層心理を掴み取ることが出来ないからだ。
弁護士にしても心理学者や社会学者など、専門家が時間をかけてでも聴取して分析し、 社会のあり方を見直し提言する道を示すべきではなかったかと感じる。政治に関わるものも 彼らをあのような道に走らせたことで自分たちの社会創り政策に問題点はなかったか、政治 への教訓は何か、知り得ているのか、全くみえない。
単に彼らを憎しみだけで罰し、法律を作っても本質的な社会不満や不安を抱かせている間は、 またいつ発生するかわからないのではないか。いわれなき惨事に遭遇してしまった人々に 報いるためにも教訓を探しだし、課題に取り組むことが大事だと思う。
やさしいタイガー
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