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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

村田さん!

2023-10-02 14:54:01 | 喫茶・輪


買い物から帰ってきた妻が「出てきて」と呼ぶ。
「村田さんが」と。
「だれ?」と言いながら出てみると、見知らぬ男性が。
「店によく来てくださってた村田さんやん」。
そうか、あの村田さんか。

彼の親の代からだと、60年近くも昔から縁のあった人だ。
彼が子どものころに出会っているのだが、その時には特には認識していない。わたしが米屋をしていた頃のことだ。
わたしがまだ二十歳代のころだが、浜松原町にあった川崎製鉄の独身寮が廃止になり、それが社宅となり、そこに社員家族が集団で入居してくるということがあった。
木造二階建ての長屋のような住居。例えれば学校の教室のようになっていて、長い廊下があった(後には鉄筋住宅になったのだが)。
そこに毎日のように(主に土日)入居者が引っ越して来られて、粗品の店名入りのタオルを持って得意先獲得に行ったのだが、何軒かのほかの米屋さんと競合になった。
殺気立っていたように思う。それも若き日の思い出だ。
何軒か獲得して、その中の一軒に村田さんがあった。
彼はそこの子どもだった。

その後、時が経って、「喫茶輪」にやってきて常連になったのが今日の村田さんである。
フォークリフトマンとして日本盛に勤めていたのだが、お昼に定食を食べに来てくださっていたのだ。
もう30年以上になる。
その後、日本盛をやめてほかの仕事(運転手)についてからも「輪」に来てくださった。
彼はシャイな人でカウンター席に座ることはなかった。
いつもテーブル席で口数少なく、打ち解けて話すということはなかった。
なので、『コーヒーカップの耳』に、彼は登場しない。
さらに、勤め先も何度か変えて、そのうちうちの店に来られなくなった。
以来、会わなくなって十数年になるかもしれない。

妻が買い物から帰宅したとき、後ろからバイクでやってきた彼が声をかけたのだと。
「誰かわかる?」と。
妻はちょっと考えて「村田さん」と言ったと。
彼はにっこりと笑ったと。
もしわたしなら絶対に思い出さない。
なぜなら、ハンサムだった彼が、スキンヘッドのおじいさんになっていたからだ。
齢を聴くと68歳だという。
まったく変わってしまっていたのだから。
よくも妻は即座に名前が言えたものだと思う。

彼はわたしに「元気そうやねえ」と言う。
「いや、いろいろ病気をしたんやで」と言うと、
彼は、「俺は交通事故で」と。
送迎マイクロバスの運転手をしているというのだが、3年前に大きな事故を起こしたのだと。
市中バスに正面衝突したというのだ。
自分の居眠り運転だったと。
気がついたら病院。何カ月もの治療だったと。
よくぞ命があったものだ。
後遺症は残ったが、送迎バスの仕事は今もしているという。
不幸中の幸いだ。

「元気でね」といって別れたが、元気でいてほしいものだ。
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読めない字

2023-10-02 10:42:36 | 本・雑誌
『喫茶店文学傑作選』だが。

「散歩」(水野仙子)の項を読んでいたら、やたら難しい文字が出て来る。
わたしなら決して使わない、というより使えない。
ある1ページだけでもこれ。
「縹致」。これに「きりょう」とルビが振ってある。わたしが書くなら「器量」だ。
「著物」。「きもの」のルビ。見逃しそうだったが、これもわたしなら「着物」と書く。
「見搾らしく」。ルビは「みすぼ」。「みすぼらしく」というわけだ。
「お扮り」。「つく」とルビ。「おつくり」だ。《これがわたしの精一っぱいのお扮りなんだと…》。おめかしのことらしい。
編者の林さん、よくこんなのを探してきますねえ!
水野仙子さんは100年以上も昔にお亡くなりになっている作家さんらしい。
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おもしろすぎる!

2023-10-02 08:57:50 | 地蔵さん
『縁起 小墓円満地蔵尊』

隣のお地蔵さんの歴史を書いた『縁起 小墓円満地蔵尊』です。

この前から「ご自由にお持ち帰りください」と何冊か置いているのですが、しらぬ間に、3冊ほど減っていました。
そして、賽銭箱には、いつもより多めにお賽銭が入っていました。
この冊子、単なる歴史書ではなく、面白いエピソードなども書かれていて読み物としても楽しめるのです。




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