久しぶりのKさんご来店。
半年ぶりぐらいかな?
急に新しい仕事を依頼されて、決心したのだと。
思いがけずに、中学の臨時教員を務められていたのだった。
頼まれてから決心して教壇に立つまで三日しかなかったのだと。
教員免状は持っていたが、初めてのことだったと。
よく思い切ったものです。わずか三カ月だけの約束としても。
その経験談をして下さった。
早朝に起きて、夜までの勤務は大変だったけど楽しかったと。
初めて教壇に立って驚いたと。
何人かが寝たまま授業を受ける。茶髪の子も何人か。
よし、この子らを起こすような授業をしようと思ったと。
一人の子は最後まで寝たままで授業を受けたが、最終の授業の時に「先生ちょっと」というので近付くと小さな声で、「ずっといてほしい」と言ってくれたのだと。寝たふりして聞いてくれてたんでした、と。
またある時、授業中、板書してたら後ろで「お父さん」という小さな声がする。なんだろと思いながら板書を続けていたらまた「お父さん」と。「今だれか声出した?」と聞いたら、「ハイ」という子がいて「先生がお父さんやったらな、と思って」と言ってくれたのだと。その子は成績のいい子だが父親のしつけが特別厳しいのだと。それに反してKさんは特別に優しい人なのだ。
そして、臨時教師の間、自分を先生とは呼ばず「おっちゃん」で通したのだと。
また別の劣等生には個別に職員室で勉強を教えたと。以前のテスト結果は100点満点の6点だったと。しかし、よく努力して93点取ってくれてうれしかったと。茶髪の子で、他の教師には諦められてる子だったと。だから93点が職員室で大いに話題になったと。これもうれしかったと。
他にも感動的な話をお聞きしたが、また。