『続 清水正一詩集』から。
左岸ノ町ヘ
久シブリニふたりデ左岸ノ町(海老江)へ行ッテミタ
三十九年マエ初メテ所帯ヲモッタ
中一丁目八十番地ノ家ノ前ヲトオッタ
二階ノ窓カラ燈ガモレテイタ
―消シワスレタノハ僕トイウ気ガシタ
なんか胸にジーンと来ます。
この清水正一さんは、大阪下町で死ぬまで蒲鉾屋さんをしていた詩人です。この『続 清水正一詩集』(編集工房ノア)は亡くなってから出ています。読めば読むほど味があります。
先日、松岡さんというお客様から戴いた詩集『続 清水正一詩集』がすこぶる面白い。
中の一篇。
徒歌(はうた)
詩をかくも残るも死ぬも縁かいな
好きなひとというものは
はやくしぬものだ と
この頃しみじみ思う
少年時代からそうだった
好きな女(ひと)の目に
とまらぬゆえ
ひょっとすると
僕は今日まで
いきられたのか